『新空港占拠』“武蔵”櫻井翔が暴く罪の正体が明らかに 『大病院占拠』鬼たちとの共通点も
空港を占拠した10人の“獣”たち。そのうちの1人が、1年前の界星堂病院の事件の時に指揮本部の情報分析官として武蔵(櫻井翔)のサポートを行っていた駿河(宮本茉由)であることが判明。駿河は武蔵に、1年前と同じように“交渉役”を務めることを要求するのである。1月20日に放送された『新空港占拠』(日本テレビ系)第2話。まだ獣たちの目的が見えない現状では、前作の『大病院占拠』(日本テレビ系)と類似したシチュエーションが多々見受けられながらストーリーが展開していく。 【写真】仮面を外した重原(山谷花純) まずは特殊部隊員がダクトから空港内に潜入しようとしたところ、爆弾と共にぐるぐる巻きにされた武蔵が投げ出されてくるシーン。前作の第2話でも武蔵は、病院内のダクトを通って人質たちの様子を窺おうとしていたが、そこでドローンの奇襲攻撃を受ける羽目となり、それと並行するように病院内への潜入を試みた特殊部隊員たちが救急車に仕掛けられた爆弾に倒れるシーンが描かれていた。 今回武蔵が連れてきた爆弾は爆弾処理班の装置の中で無事に処理されるわけだが、潜入が阻まれるという点では同じである。和泉(ソニン)たち指揮本部は、獣側が空港の拡張予定のスペースを把握していないと踏んでいたが、それは誤りであったのか、それとも武蔵の持ち前の強運によって特殊部隊員たちがいるところへ出ることができたのかは判然としない。 また、獣たちがライブ配信をするという点も、完全に鬼たちの手口を真似ている。チャンネル名も「獣ちゃんねる」と、鬼たちの「百鬼夜行ちゃんねる」よりシンプルな名称となっており、たしかにこれでは二番煎じと思われ世論の支持を得にくいというのも納得がいく。配信ではリーダー格(今作では龍)が登場し、人質の“罪”を武蔵を動かすことで暴かせていくという流れも前作の鬼たちと同じである。 その前作では、人質にされた病院関係者たちの罪を公にすることで、彼らの隠蔽していた事件の犠牲となった身内の私怨を晴らすことが鬼たちの主な目的であった。今回のエピソードで面を外した鶏=重原瀬奈(山谷花純)も、白河(俵木藤汰)の嘘によって自殺に追い込まれた同僚の復讐を遂げる。これだけ見れば、獣たちも鬼たちと同じような私怨で結束した者たちの集団と考えることができるが、龍が語る言葉からは、より大きな範囲に波及していく可能性もあり得るだろう。いずれにせよ、今回暴かれる罪の正体は“隠蔽”ではなく“嘘”ということか。獣たち自身がネット上に書き込む“嘘”で世論を動かしていくさまが、その抵抗を示している。 獣たちのなかに、共犯関係以外の関係性が介在していることも、同じ施設で育った者たちや夫婦、親子、兄弟が復讐のために寄り集まった前作の鬼たちと通じている。友人である同僚の復讐を遂げた鶏に、猿が寄り添う一連からは2人が恋人同士であることが窺え、その様子を見ている羊もただならぬ関係であると推察できる。なにより、猿が鶏と同じように白河への復讐を目的に占拠に加わっているようには見えず、その点からも人質一人ひとりの罪が前作のようにひとつの大きな事件から連なっているとは考えづらい。強いてあるとすれば、空港が作られたことそれ自体にあるのかもしれないが。 ところで、そんな空港内の出来事とは離れるように展開する裕子(比嘉愛未)と謎の男(ジェシー)の一連も、まだまったく男の目的が見える気配がない。銃を突きつけられたまま裕子は車を走らせ、検問を突破し、たどり着いた先は娘のえみり(吉田帆乃華)がいる武蔵家。この検問のシーンでは、男の免許証がしっかりと確認できる。偽装の可能性もあるが、名前は「松山雄大」。生年月日は「平成9年5月1日」ということは26歳。住所は「中区本牧3丁目」なので、今回武蔵が訪ねていった白河の自殺した秘書・新見家と同じ町内のようだ。
久保田和馬