福岡PayPayドームや「BOSS E・ZO FUKUOKA」一帯からつくられる福岡ソフトバンクホークスの”まちづくり” 新たなエンターテインメントの発信地に
コロナ禍まっ只中のオープン、約2年半は忍耐の期間に
「BOSS E・ZO FUKUOKA」のオープンにおいて、池田さんは”インバウンド”を大きなテーマに掲げていると語る。 福岡県は、県別での外国人観光客数がトップ10以内に入るなど全国有数の観光地。地理的に近い韓国をはじめとするアジア諸国を中心に、コロナ期間を除いて毎年多くの方が訪れている。 球団はこの場所と魅力を活かし、PayPayドーム一帯も世界中の人が集まり楽しめる観光シンボルにしたい想いを抱いてきた。 しかし、開業当初は新型コロナウイルス禍が世界的に猛威を振るい始めたタイミング。オープンから昨年までは海外どころか国内の移動ですらも制限があったため、スタートから苦戦を強いられることになった。 「元々この施設をつくったときも、”インバウンドの集客”というのを大きなテーマとして持っていました。平日昼間や試合がない日の集客を考えると、キーになるところだったのですが、まずそこが完全いらっしゃらないというのがスタートから苦労したところです」 開業してからは、県内を中心とした地元の方が利用する割合が大きかったと。メインテーマである”インバウンド集客”が全くと言っていいほど獲得できない期間だった。 忍耐の日々が続いたが、昨年の末ごろ徐々に風向きが変わり始める。韓国などから福岡への直行便が再開するとアジアを中心に欧米からも観光で訪れる方が徐々に戻ってきた。 そして、今年に入り3月にプロ野球が開幕すると声出し応援が復活。日常でもマスク着用義務の解除などもあり、PayPayドームやBOSS E・ZO FUKUOKA周辺は賑わいを見せた。 「昨年までと比べて各フロアで1日の最高入場者数更新や、過去最高の売り上げを更新する日が続きましたので、レジャーにおける機運が戻ってきたというのを実感していますし、本格的なスタートが切れたと思います」
自治体と連携してインバウンド誘致を強化
インバウンド誘致をさらに高めるべく、球団は自治体と連携している。 県や市の観光連盟など共に各国へ直接提案し、海外のインフルエンサーにBOSS E・ZO FUKUOKAへ来場いただくなど尽力。インフルエンサーがSNSでその魅力を伝えることで、海外からの来場を促進する取り組みを行っている。 また、球団のインバウンド誘致を担当する部署が行政と一緒に台湾など現地へ行き、交流を深めることでコンテンツ制作へと活かしている。 「インフルエンサーさんに協力いただくことで、若い層に支持されてるスポットになったり、海外の方々に”行ってみたい”と思ってくださっているので嬉しい限りです」 日本有数の観光名所でもある福岡。その魅力は海外に向けたものだけではない。今後国内で力を入れたいことについて語る。 「団体さんの誘致にもっと力を入れていきたいですね。例えば修学旅行。学校さんの修学旅行というのは、ここ1年先の話ではなくて3年~4年先のことを決めていくんですね。 ここでも行政の方々と協力をして、九州に来ていただけることになれば、『ぜひ福岡に・ぜひBOSS E・ZO FUKUOKAに立ち寄ってください』などとお伝えしています。コロナ禍の時期から種を蒔いてきたのもあり、ようやく軌道に乗ってきてる手応えはあります」 賑わいを見せているホークスがつくり上げる街。取材当日は試合のない平日日中の雨の日だったが、BOSS E・ZO FUKUOKAには学生や乳幼児と一緒のファミリーなど地元の広い層が多く訪れていた。 各フロアが賑わいを見せており、県内有数のレジャースポットとして確実に定着している印象を受けた。 「それまで試合のない日は結構寂しかったですよ。確かにそうですよね(笑)。でもこの施設ができたことで、今日みたいな平日の野球がない日でも人通りがある。とても意義のあることだと思います」