株価"突飛高"のWelby、経営トップに事業の先行きを聞く
4月21日以降、株価が乱高下しているWelby。この先、業績の裏付けを伴う形で株価が上昇していくのか、山本武代表取締役の手腕が問われる(撮影:尾形文繁)
「PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)」という医療系IT業界の用語がある。日本語に言い換えると、「個人の健康にかかわる生涯型の電子カルテ情報記録・管理」となる。 そのPHR関連業界の先頭を走る専業ベンチャーが、がんや生活習慣病の治療データ情報管理アプリを開発・提供するWelby(4438)だ。同社の株価は4月21日以降、最大で7割上昇する“突飛高”を演じるなど、活発化している。ただ、値動きは業績面の裏付けを伴わない商状で、乱高下の様相を呈している。 というのも、5月12日に発表した今2023年12月期第1四半期(1~3月)実績が、売上高1億0500万円(前年同期比42.2%減)、営業赤字1億3200万円(前年同期は6700万円の赤字)と低調な出足だった。これを嫌気した売りによって、3日前の5月9日に高値749円をつけた株価は、5月18日は安値491円まで大幅反落した。 そもそも、株価が4月21日に急上昇したきっかけは何だったのか。同社が、国立がん研究センター中央病院などのがん診療連携拠点病院と共同で、PHRを臨床現場で常時活用する有用性の研究プロジェクトを開始すると、同日にリリースしたからと目される。 この関連ビジネスは、神戸大学医学部附属病院などと臨床研究分野向けで実績を積み重ねてきた。その延長線上で、今回は“総本山”であるがん研と共同で実臨床を目指すという。投機筋は、事業躍進につながるとして“思惑買い”を入れており、約1年ぶりの戻り高値水準700円前後へと出直ったのだ。活発化した商いは収束しておらず、株価は乱高下している。 今後、株価が居所を探ったうえでジリ高で推移するには、業績面の成長拡大を裏付ける材料が出ることが必要だろう。株価が急動意した前日の4月20日、代表取締役に昇格したばかりの山本武前COO(最高執行責任者)へのインタビューも交えて、同社の今後の成長可能性を探ってみたい。
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古庄 英一