タカの仲間ハチクマが繁殖の可能性 ヤマナハウスの生物調査 南房総(千葉県)
南房総市の交流施設「ヤマナハウス」による生物の生息調査で、施設周辺の森でタカの仲間、ハチクマが繁殖している可能性があることが分かった。調査に当たる施設の副代表、沖浩志さん(41)によると、南房総地域で繁殖活動が確認できれば、県内では貴重な発見例になるという。沖さんは親鳥がひなを育てる様子を確認するため、引き続き調査を進める。 沖さんがハチクマの姿を確認したのは7月末。施設周辺の森でタカの仲間の鳥が飛ぶ様子を探していて、木の上を飛ぶハチクマを発見。持っていたカメラで写真に収めた。沖さんが目視で確認した際、ハチクマは足にコジュケイとみられる鳥をつかんで飛んでいた。身体の特徴から雌とみられるという。 ハチクマは5月半ばに東南アジアなどから日本に渡ってくる。6月上旬に1~3個を産卵。1カ月ほどでひながかえり、つがいでひなに与える獲物の狩りをする。8月初めの時期は、お盆の頃のひなの巣立ちに向けて子育ての終盤に当たる。巣立った後は、親鳥、幼鳥ともに9月下旬に東南アジアに渡っていく。 今回、見つけたハチクマについて、沖さんは巣立ちが目前で食欲が盛んなひなに獲物を与えるため、巣に帰るところだったと推測。巣の場所の確認に向け、親鳥の飛ぶ様子を探しては追いかける方法で、引き続き調べる。 ハチクマは、日本にいる間は九州~北海道の広い範囲に生息するが、人里から離れた森の奥に巣を作るため、見つけるのが難しいという。 沖さんは「南房総地域でハチクマの繁殖が確認されれば、かなり貴重な発見になる。巣の場所を見つけて、その中にひながいる状況が分かったら、ぜひ日本鳥学会で発表したい」と話している。 (斎藤大宙) ◆◆◆ 「ハチクマ」体長60センチ前後のタカの仲間。クロスズメバチなどの巣を襲って幼虫やさなぎをエサにすることから、この名がついたといわれる。子育て中は、親鳥がハチの巣ごと自分たちの巣に運んでひなに幼虫などを与えるが、昆虫や小鳥、カエル、ヘビなどを捕まえることもある。