ハムやソーセージなどの 加工食品、牛乳やチーズなどの乳製品は共にチルド配送が必要になる商品だ。

牛乳やチーズなどの乳製品に、 ハムやソーセージなどの食品加工品、生麺やピザなどの調理食品──。スーパーに並ぶ、いわゆる「チルド食品」の物流システムが変わるかもしれない。 【全画像をみる】牛乳・ハムら「チルド」配送に危機。日本ハム、明治ら大手9社がタッグ 10月7日、チルド食品を取り扱う、伊藤ハム米久HD、日清食品チルド、日清ヨーク、日本ハム、プリマハム、丸大食品、明治、森永乳業、雪印メグミルクの9社が、物流課題の解決を目指す「チルド物流研究会」が発足し、記者会見を開いた。 小売店への輸配送を担うトラックドライバーの残業規制の強化に伴う「物流2024年問題」が指摘される中、0～10度での「チルド配送」を必要とする競合・異業種のメーカーがタッグを組み、配送網の効率化を進めていく考えだ。

「各業界では対応しきれない」

「何も施策を講じなければ、商品を持続的にお客様へ提供することができなくなる厳しい環境と捉えております。今後、商品を安定的にお客様に共有し続けるためには、 これまで当たり前としてきた納品条件や商慣習の見直しが必要であると考えております」 明治・執行役員で生産物流プロセス戦略本部長を務める伊賀仁氏は、チルド物流研究会発足の背景をこう語る。 同協会によると、2030年には34％の配送力が低下するとも言われている。物流の効率化は喫緊の課題だ。2024年5月には、物資の流通の効率化に関する法律（物流総合効率化法）も公布され、輸送網の集約や事業者の連携などへの対応も求められている。 ただ、2024年問題はかねてより指摘されてきた課題だ。実際、他業種を見れば、2023年から徐々に競合・異業種間での連携が進んでいる事例も見られている。 チルド物流研究会に参画している企業・業界の中でも、もともと個社や各業界（乳製品業界、食肉加工業界）ごとに課題解決を進めていた。ただ、その限界も見えてきていた。 事務局担当者は 「個社、それぞれの業界ではなかなか解決できない課題を相互で確認して、今回の研究会を立ち上げた」 と、2024年になって競合・業界を横断して手を結んだ背景を説明した。 研究会では、分科会での協議をもとにスーパーマーケット団体や業界団体らと交渉。物流の未来のあり方について方向性を決めていく。最終的には、その方向性を踏まえ、各社が個別に小売企業・卸売企業と納品条件などを交渉していくことになる。 なお、研究会では会長職などは置かず、各社持ち回りで会議を運営していく。今後、新規参入も受け入れるとしながらも、まずは発足段階の9社で座組を決めていく方針だ。