水泳で氷見の復興応援 立教大生、10月末から合宿 名誉市民安部清氏の縁
●地震で宿泊客減「少しでも貢献を」/市民教室開催 立教大の水泳部が今月末から、能登半島地震で被害を受けた氷見市を応援するため市内で秋合宿を始め、部員と指導者45人が市民と交流する。合宿は市出身の実業家で名誉市民第1号、安部清氏の長男喜方(きほう)氏(71)が部の監督を務めていた縁で始まった。市内の旅館は地震で宿泊客減少や合宿のキャンセルに見舞われているが、部関係者は予定通り合宿を行い、市民に寄り添う思いを新たにしている。 【写真】氷見市名誉市民の安部清氏 合宿は、元水泳部総監督の喜方氏(東京、日本水泳連盟顧問)が、部を率いていた2000年ごろに始めた。地域貢献を重視して部員が指導する市民向け水泳教室を開くほか、氷見に親しむため地元工場の見学なども企画してきた。今月31~11月4日の4泊5日の日程で、最終日には液状化被害に見舞われた観光施設「ひみ番屋街」などを訪れる。 合宿中は泊の旅館「磯波風(いそっぷ)」に宿泊する。旅館は8月から一般客の受け入れを再開したものの、地震の影響で団体客が減るなど厳しい状況が続いており、村上博俊支配人は「若者が行き交うとまちなかがにぎやかになる」と歓迎した。 練習を市民プールで行うほか、市民向け水泳教室では2日に高校生以上を対象にした水中運動、年中児から小学6年生対象の水慣れ、小中学生向けのクロール教室をそれぞれ開く。4日に開かれる氷見市水泳記録会に部員も参加し、市民とともに合宿での成長を確かめる。 氷見市によると、「ハンドボールのまち」として知られる市は全国の高校、大学ハンド部の合宿地となっているほか、旅館、民宿の多さや日本海に面した豊かな自然風土が好まれ、他の競技でも合宿先に選ばれてきた。市のまとめでは2023年は18校が訪れた一方、今年は現時点で立教大を含め12校が予定されている。地震によるキャンセルも出ているという。 現在、立教大体育会OB・OGクラブ会長を務める喜方氏は「氷見が大変な状況で少しでも貢献したい。富山が観光で再生しようとする中、氷見の魅力を発信していきたい」と話した。 ★安部清(あべ・きよし) 1902年、氷見市早借生まれ。子ども服「ベビー」を創業し、東京子供服工業組合理事、参事や全日本洋裁技能協会理事などを歴任。氷見市内のへき地校や小規模校に48年間にわたり図書、テレビなどを贈り続けた。90年4月に名誉市民第1号に選定。1億円を寄付して「安部賞」が創設され、優秀な人材を表彰するなど市発展に貢献した。名誉市民第2号は市出身の漫画家藤子不二雄Ⓐさん(元富山新聞記者)。