日米比首脳が初会談へ、最優先課題は地域の緊張高める中国への対応
(ブルームバーグ): 米ホワイトハウスで11日に開かれる米国、日本、フィリピン3カ国の初の首脳会談には最優先の目標がある。中国との緊張の最前線にいる二つの重要な同盟国と米国が協力関係を深めることだ。
米政府は、台湾や東シナ海、南シナ海の領有権を主張する中国に対抗するため、インド太平洋地域の同盟国と結束を強めようとしている。首脳会談にはバイデン大統領、岸田文雄首相、マルコス大統領が出席する。
ホワイトハウスの声明によれば、3首脳は、中国が地域の緊張をこれ以上高めることがないよう、取り組みを一層強化したいと考えており、安全保障、新興技術、サプライチェーン(供給網)などの戦略分野で協力を進めることを話し合う。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は8日、米国、日本、フィリピンの3カ国は海洋民主主義国家として緊密に連携しており、戦略的目標と利益、そして南シナ海のような地域を巡る懸念で利害が一致しつつあると指摘。「3首脳はさまざまな重要課題で新たな構想を発表する」と語った。
日米首脳会談
3カ国首脳会談に先立ち、バイデン、岸田両氏は10日に会談する。防衛産業協力に関する協議体を設置するほか、日本国内における米海軍艦船の補修能力を拡大する計画を発表する予定だ。米政府高官によれば、大幅なコスト超過に悩まされている日本でのパトリオット(PAC3)ミサイルの生産能力改善は、協議体で取り組むプロジェクトの一つになる可能性があるという。
日本の首相の国賓待遇での米国訪問は、安倍晋三元首相以来、9年ぶり。国賓待遇で招かれるのはバイデン政権下で5人目となる。
日本はまた、米英とオーストラリアの3カ国による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」との協力でも、より大きな役割を担う見通しだ。オーストラリアのアルバニージー首相は9日、メンバーを拡大する「計画はない」と語った。ただ、米英豪の政府高官によれば、AUKUSの「第2の柱」である極超音速兵器、人工知能(AI)、量子コンピューティングといった先端技術分野で日本との協力を検討するという。