“VR×3対3マルチプレイ”で目指す、新しいスタンダードの確立 『ブレイゼンブレイズ』開発者インタビュー
これまで、『東京クロノス』や『ALTDEUS: Beyond Chronos』などの良質なアドベンチャー作品を次々と送り出し、最近では話題作『8番出口』のVRバージョンのパブリッシングを手掛けるなど、国内におけるVRシーンを最も代表する会社の一つとなったMyDearest。そんな同社が、いわゆるヒーローシューターの系譜に位置する3対3のマルチプレイ対戦ゲームとなる『ブレイゼンブレイズ』を開発していると聞いたときには、率直に意外な印象を受けたのを覚えている。 【画像】VRで敵をぶっ飛ばせ! 『ブレイゼンブレイズ』のマップなどのスクリーンショット とはいえ、そうした不安は、昨年のαテストの時点で、VRゲームとしてはこれまで味わったことがないくらいの完成度の高さへの驚きとともに、瞬く間に期待へと変わっていった。広大なステージを高速かつ軽快に駆け回り、破壊の限りを尽くしながら渾身のパンチを相手に叩き込む爽快感は、明らかに唯一無二の体験だ。細部まで作り込まれた個性的なキャラクターたちの存在感は確かに「MyDearestらしさ」を感じさせるものであり、テストが進むごとに立体的に浮かび上がっていく世界観に強くワクワクさせられる。個人的には、もしこれからVRゲームを始めようと思っている人がいるのであれば、さまざまなロングセラータイトルと一緒に本作を勧めたいくらいには良質なタイトルだと感じている。 今回のインタビューでは、7月19日についに正式リリースを迎えた『ブレイゼンブレイズ』(Meta Quest / SteamVR)についてはもちろん、「なぜMyDearestはマルチプレイ作品に挑戦するのか?」という疑問や、シーンを牽引してきた同社から見たVR市場の現状についてもあわせて、本作のプロデューサーを務め、創業メンバーの一人でもある千田翔太郎氏と、ディレクターとしてキャラクター・武器などのデザインやUIの監修、ゲーム全体の運営を担当する吉岡哲生氏に話を伺った。そこから見えてきたのは、これまでVRの「人生を変える可能性」を信じ、たしかな実績によってその才能を証明してきたMyDearestがゲーム業界全体に叩きつける挑戦状こそが『ブレイゼンブレイズ』であるという、あまりにも頼もしい姿だった。(ノイ村) ■MyDearestが生み出す、“新しすぎる”マルチプレイ体験とは ――私はαテストのころから『ブレイゼンブレイズ』をプレイしていて、実際に記事も何度か書いているのですが、今回は待望の正式リリースということで、あらためて本作の概要について教えてください。 吉岡哲生(以下、吉岡):『ブレイゼンブレイズ』は3対3による、近接格闘を中心としたVR対戦アクションで、基本的には「相手を吹っ飛ばして倒す」というシンプルなルールによって勝敗が決定するゲームです。両手に装着したガントレットによる高速移動であったり、大規模な破壊を楽しんだり、超人的な力を操ることができたりと、人間を超越するような体験ができるゲームになっているというのが大きな特徴ですね。 特に、「大規模な破壊」については、ステージ上に存在する建物についてはすべて壊せるようになっているので、存分に破壊の気持ちよさを楽しむことができます。キャラクターについても、それぞれがユニークな能力や武器を持っていますし、ステージに出現するアシストアイテムを使うことで逆転を狙うこともできるので、そういったカジュアルなゲーム性を楽しめるというのもひとつの特徴です。 ――本作については開発のかなり初期の段階からαテスト、βテストを何度も重ねてユーザーのみなさんと一緒に作られているかと思うのですが、実際の反響や手応えについてはいかがでしょうか? 吉岡:先ほど挙げさせていただいたような高速移動や建物の破壊といった、ゲームのコアにあたる部分は非常に好評で、ほとんどプロトタイプのような状態で実施していた初期のテストの頃から1年以上プレイしていただいている方々も数多くいらっしゃいます。むしろ、現在はそうした熱心なプレイヤーと、正式リリースによって新しく入ってこられるであろう方々のプレイスキルの差を課題の一つとして認識しているので、アシストアイテムの導入や、マッチングの改善、チュートリアルの改良といった全体的な見直しを実施しています。こうした取り組みを発売前に行うことができたのも、テストを繰り返したことのメリットですね。 ――マルチプレイ作品のβテストといえば、ゲームによってはほとんど完成している状態で、バランス調整のために発売の数ヶ月前に実施するというケースも少なくないと思うのですが、なぜ、『ブレイゼンブレイズ』ではこのような開発プロセスを採用されたのでしょうか? 吉岡:『ブレイゼンブレイズ』は既存のVRタイトルと比較しても、高速移動、マルチプレイ対戦、近接格闘など、これまでになかったようなシステムや体験を数多く含んだゲームになっています。動画を公開した段階では「すごくVR酔いしてしまうのではないか」という意見もたくさん出ていました。でも、実際にプレイしていただくと、VR酔いに悩まされることもなく、気持ちよく遊ぶことができたという声を聞くことができているので、まずは、この新しすぎると言ってもいいくらい新規性に満ちた体験に気軽に触れていただきたい、そのうえで改善するべきところは改善しようという考えの元に、テストを重ねてきました。 ――開発されるなかで重視している部分は、どのようなところにあるのでしょうか? 吉岡:一言でまとめると「挑戦」ですね。『ブレイゼンブレイズ』は本当にチャレンジングな部分が大きいと思っています。たとえば、3対3のマルチプレイで、さらに近接格闘中心で同期するというのは、VRとか関係なく技術的に大変なことなんですよ。しかもステージが壊れるようになっているし、それをスタンドアローンのMeta Questのようなスペック的にも限られた環境でやるというのは本当に難易度が高い。いまでも結構な頻度で「ビルを壊せないようにしたい」とか「ステージを小さくしたい」という話が挙がってきます(笑)。だから、そうした挑戦を実現してくれるチームには常に頭が上がらないですね。 ――それでも、やっぱり壁を壊せるというのは譲れないポイントなんですね。 吉岡:そうですね。「敵を殴り飛ばす」という部分に対して、敵がブッ飛んでいった先で壁にただぶつかって終わるよりは、やっぱりどんどんブチ抜いて吹っ飛んでもらった方が、パンチした側も気持ちいいですからね。 あとは、いろいろな武器の種類が用意されているというのも特徴のひとつだと思います。VRゲームだと、銃だけだったり、弓だけだったり、体験できるものが限られていることが多くて、でもそれがやりたいからタイトルを買うということが多いと思うんですよ。でも、『ブレイゼンブレイズ』の場合は銃や爆発物もあるし、弓もあるし、爪もあるし、なんでも体験することができます。聞こえは良いんですけど、実装は本当に大変で(笑)、でもそういうところも全部盛り込めるように挑戦を続けています。 ――体験の幅広さといえば、『ブレイゼンブレイズ』に登場するキャラクターやスキルはすでにさまざまなバリエーションが用意されていますが、これはどのようにして制作を進められていったのでしょうか? 吉岡:全体に共通しているのは、コンシューマーやPCのタイトルと同じようなことがVRでも体験できたら楽しいんじゃないかということですね。もちろん、そのまま導入するわけではないのですが、たとえばレーザーを撃ったり、大爆発を起こしたりといった、ある意味では原始的ともいえる欲求を起点にすることで、いろいろなスキルが生まれていきました。そういった意味では、スキルやアクションを決めるうえで最初の時点ではあまりバランスを考慮していないところもありますね。まずは「こういうことがやりたい!」というロマンを第一に、最終的にゲームとして、対戦として成り立つよう調整するようにしています。 ――今後もキャラクターは追加されていくのでしょうか? 吉岡:正式リリース時にはオープンβテストで使うことができた5体のキャラクターに、新たに2体のキャラクターが追加されます。8月以降も、いまのところは数ヶ月に一度くらいのペースでキャラクターを増やしていきたいと思っていますし、ステージも増えていくので、リリース以降もボリュームはどんどん大きくなっていくはずですよ。 ――マルチプレイ作品といえば、プレイヤーベースの拡大というところが大きなミッションの一つだと思うのですが、それについては具体的な取り組みを予定しているのでしょうか? 吉岡:はい。大前提として、ゲーム内にいわゆるbotというNPCの敵プレイヤーを実装しているので、人がいないから対戦が成り立たないという状態は生まれないようになっています。そして、今後の取り組みについては、まずは信頼できる運営会社によるタイトルであるということを強く打ち出していくために、キャラクターの追加や、ゲーム自体が進化していくようなビジョンをユーザーのみなさまと共有して、「このゲームには時間をかけていいんだ」と感じてもらえるようにしたいと思っています。 もうひとつは、ほかのIPやVRタイトルとのコラボレーションについても積極的に実施することで、新しいユーザーに来ていただくことはもちろん、『ブレイゼンブレイズ』自体がVR業界全体を盛り上げていく助けになれば良いなと考えています。 ■「VRは始まった時からグローバル」。北米市場に狙いを定める『ブレイゼンブレイズ』の取り組み ――『ブレイゼンブレイズ』のユーザーテストは日本だけではなく世界各国で実施されていますし、英語版のDiscordサーバーもとても活発に盛り上がっていますよね。海外のファンからのフィードバックや反響についてはいかがでしょうか? 吉岡:『ブレイゼンブレイズ』については、最初の時点から北米のユーザーに向けて発信していきたいという目標があり、ゲーム性や表現においてもテストを通して北米の方々と一緒に作っていこうというビジョンがあったのですが、すでに現在のオープンβテストの時点で6割から7割くらいがアメリカのユーザーで、ヨーロッパやほかの地域の方々が2、3割くらいになっています。実は日本のユーザーについては10%くらいなんですよ。もともと狙っていたターゲットに対しては、しっかりと訴求できているのではないかと考えています。 ――それは興味深いですね。北米に向けているといえば、『ブレイゼンブレイズ』ではこれまでの作品とは異なり、『Apex Legends』などの海外のAAAマルチプレイ作品に携わってきたRichard Khoo氏や、グラフィック・ノベル作家として知られるWarren Ellis氏がコンサルタントとして関わっていますが、これはどのような背景で起用されたのでしょうか? 千田翔太郎(以下、千田):やはり、「北米のユーザーにとってちゃんと面白いものになっているか」というところがポイントですね。「こういうゲームを作りたいと思っていて、北米に対してはこう考えているけれど、それは正しいのか」を確認できるのは大きいです。Warren Ellisさんには国籍や起源などを踏まえたキャラクターの考え方や、彼ら彼女らのユニークシナリオなどを制作していただいていますし、Richardさんについては何度もプレイテストを重ねていただきながら、純粋にどう思うかを率直にフィードバックいただいています。ただ、そのなかでもスコープがズレないように作っていくことによって、僕たち、あるいは日本人開発者の良さというものが個性として滲み出ているのではないかと思います。 ――ゲームにおける基本的なアイデアはMyDearestの中から生まれてきたものがベースとなっているのでしょうか? 千田:そうですね。ただ、キャラクターについてはWarren Ellisさんの方から原案に近い形で持ってきていただいたものもありますし、もちろん僕たちの方から「こういうキャラクターにしたいんだ」と原案を持っていったものもあるので、そこは一緒に作ってきたという表現が正しいかなと思いますね。 ――実際に外部の、それも海外のクリエイターによる監修を受けるというのはどのような経験でしたか? 千田:Warren Ellisさんとの制作については、最初はそれこそこれまでに摂取してきたものがまったく違うので、どうなるのかなと思っていたんですけど、実際にやってみると意外と魂が伝わればいけるという感覚がありましたね。キャラクター作りについては、自分たちで見せたい部分をちゃんとグローバルで見せるために補強していくような感じで進めることができましたし、言い回しのところとかも「こういうジョークを言うならこういう感じだよね」というふうに擦り合わせながら形にすることができたので、とにかく発見が多かったです。断腸の思いでボツにするようなことはなくて、自然と出来上がっていったので、とにかく楽しみながら進められました。 吉岡:「北米のユーザーをターゲットにする」と考えても、どうしてもそのカルチャーを完全に理解できているわけではないので、そのズレを調整して、ちゃんと求めるものを提供することができるというのは大きいですね。特にWarren Ellisさんからはシナリオやバックボーンの部分をかなり補填していただいているので、とても助かっています。MyDearestの製品として、どんなキャラクターが出てくるのかというのはファンの方も求めていらっしゃる部分だと思うので、ゲーム性だけではなくキャラクターやシナリオからも、今後もどんどん見せていければ良いなと思っています。 ――なかなか言語化が難しい部分だとは思うのですが、そもそも北米と日本における違い、北米のプレイヤーに向けて調整していくというのは、具体的にはどのような部分になるのでしょうか? 千田:キャラクター設定に関して言えば、少なくともマイナスを消す、タブーを潰していくというのはありますね。当たり前の話ではあるんですが、「この人種の方は、こういう髪型はしないよね」とか。そういう部分を間違ってしまうと、せっかくゲーム自体が面白くても「分かってないじゃん」と思われてしまうので、そうならないように気をつけています。 いまのゲーム業界全体でもそうなってきているとは思うのですが、VRに関しては始まったときからグローバルなんですよ。市場はもちろん、ストアのようなプラットフォームについても、すべてがグローバルを前提としているので、海外のユーザーが最初に見たときにどう思うかというのは、より細かく見る必要があります。VRゲームはほかのコンシューマーゲームと比べても、これからまだまだ市場が大きくなっていく状態なので、会社の個性はしっかりと出しつつも、「やりたくない」と思われてしまうような要素はなくしていかないといけないですね。 ――「VRは始まった時点でグローバル」というのはとても興味深い指摘ですね。ゲームプレイについてはどのような違いがあるのでしょうか? 吉岡:あくまで『ブレイゼンブレイズ』における日本とグローバルのユーザーを比較して、という前提にはなるのですが、いまのところは日本のユーザーに関してはカジュアル性を求める声が多いと感じています。MyDearestの作品ということもあってか、もともとアドベンチャーゲームのようなジャンルから来た人が多いというのも大きいかもしれないですね。シビアな競技性というよりは、カジュアルなパーティーゲームを求めるような感じです。一方で、グローバルに関しては、もっと話のネタというか、コミュニケーションツールとして使われているような印象がありますね。それは実際の対戦においてもそうなのですが、それ以上に、キャラクターの性能やデザインについて、ある種の共通の話題として話し合いながらDiscordが活発に盛り上がっていくようなイメージです。 ――なんとなく、海外のほうがより競技性、いわゆる「eスポーツ性」のようなものを求められるのかなと思っていたので意外ですね。実際はもっとカジュアルというか。 千田:年齢層が全然違うというのは大きいかもしれませんね。北米の主要なユーザーに関してはティーン層がすごく多いんですよ。なので、「面白い! 楽しい! みんなと遊べる!」というのがとにかく大事で、そういえば僕たちもそういう時代があったなと思わされますね(笑)。 ■国内VRシーンを牽引してきたMyDearestが世界に放つ、決定版にして新たなスタンダード ――そもそもの話になってしまうのですが、これまで『東京クロノス』などのシングルプレイのアドベンチャー作品のイメージが強かったMyDearestが、なぜ『ブレイゼンブレイズ』のようなマルチプレイ対戦ゲームを作ることになったのでしょうか? 千田:まずは会社としての話になるのですが、いわゆる基本プレイ無料型のモバイルゲーム市場が確立していったひとつの指標として1000万MAU(Monthly Active Users、1ヶ月あたりのアクティブユーザー数)というのがありました。数年ほど前から「あと数年でVRもその数字に到達する」という予測をしていて、まさに2024年がそのタイミングだったんです。会社としても「ここで勝負するぞ」という構想や、そのための組織体制をかなりの時間をかけて作っていて、「まだ大手が出せないタイミングに、最大火力で、最高に面白いゲームを出す」という全社的な目標の元に、このプロジェクトが動いていきました。 そのうえで、みんなが熱狂できるようなゲームを作るとしたらどんな内容が良いのかというのを検討し、ユーザーの反応を見て、最終的には『ブレイゼンブレイズ』のベースとなるガントレットのギミックを使ったゲームという方向に向かっていきました。 ――では、まずは市場を見極めての判断というのが大きかったんですね。 千田:はい。ただ、実はもともとマルチプレイのゲームを作りたいという想いも強かったんです。会社を立ち上げたころまで遡るのですが、そもそもMyDearestでやりたかったのが、VRの特性である「空気を感じる」ことによってもうひとつの人生を体験することで「人生が変わりうる経験」を作るということでした。 マンガをきっかけにして人生を変えた人がたくさんいるように、コンテンツは人生を変えることができる。そして、空気を感じられるVRにはもっとその可能性がある。僕は、VRは人生を変えるパワーを持ったメディアだと思っているんです。最初にそれをまっすぐやったのが『東京クロノス』や『ALTDEUS: Beyond Chronos』で、まさに「もうひとつの人生」を、自分が主人公になって人生を変えるような物語を作るということを体現することができたと思っています。 もちろん、そのような体験はこれからも作っていくのですが、一方で、ユーザーに提供するのではなく、ユーザー自身が自分の手で作っていく物語体験というのがマルチプレイのゲームだと思っています。ユーザーを起点にした熱狂の物語を生み出すというのは常々やりたいと思っていましたし、市場的にも良いタイミングなので、「すべてここに賭けるぞ」という想いで『ブレイゼンブレイズ』を作っています。それこそ競技シーンもそうですし、これを仕事にするような方が出てきてほしいくらいに思っていますね。それが僕たちのミッションだと思っていますし、僕たちにしか作れないものですから。 ――まさに国内のVRシーンを牽引してきたのがMyDearestだと思っているのですが、そんなみなさんにとって、現在のVRを巡る状況についてはどのように感じていらっしゃいますか? 千田:語られることが地域によってガラっと変わってしまうところはありますね。たとえば、日本ではどうしてもネガティブなトピックが語られやすいところはありますし、それはそもそも日本人向けのゲーム自体が少なかったり、市場自体がそこまで大きくはないというのもあると思います。もちろん、そのなかで日本人も喜ぶようなゲームを出しているMyDearestが業界を先導していきたいという想いはあります。 一方で、北米に目を向けると、Meta Questが2023年3月時点で2000万台、現在は2500万台も超えているのではと噂されているくらいに売れていて、アメリカでは10代の30%以上がVRヘッドセットを所有していると聞きました。しかも、「ティーンの帝国」といってもいいくらいに子どもたちの層ができている。これはスマートフォン業界が広がっていったときの数字に近いものがあると感じているので、市場としても盛り上がっているし、実はすでに夜はとっくに明けていて、モメンタムを感じる状態になっていると言ってもいいのかなと。だから、全体としてはあまり悲観していなくて、むしろこれから広がっていく市場に向けてどういう作品を作っていこうかと、常にワクワクしていますね。 とはいえ、ゲームについてはまだまだいろいろなジャンルが開拓されきったわけではないところもあるので、僕たちとしては『ブレイゼンブレイズ』が新しいスタンダードになるといいなと思っています。それこそ、キャラクターを主体とした対戦ゲームというのはVRでは競合がまだまだ少ないですし、カジュアル性が高い近接戦闘の面白さや、突き詰めていくと競技性も出てくる奥深さというのは決してほかにないものだと思っているので、これを武器に市場を取りに行きたいですね。 ――まさに『ブレイゼンブレイズ』はこれからさらに拡大していくVR市場に対する、MyDearestとしての決定版のような存在なんですね。 千田:そうですね。このタイミングだと信じてここまでやってきましたし、それは間違いないと思います。いまの北米におけるVRはどちらかというとソーシャルメディア的な文脈で楽しまれているものが多いところがあるので、今後はゲームについても多様化が進んでいくと思いますよ。後から振り返ったときに、「このタイミングで『ブレイゼンブレイズ』を出せて良かった」と語れるようになればいいですね。
ノイ村