東京23区「年収の壁」見直しで2400億円減収 特別区長会が試算
いわゆる「年収の壁」の見直しを巡り、東京23区全体でおよそ2400億円の減収になるという試算が明らかになりました。新宿区の吉住区長が「壁を動かした後に何が起こるのか、真剣に検討することが必要」だと述べるなど、「年収の壁」見直しで都内でも「税収減」への懸念が示されています。 自民党・公明党・国民民主党の3党は11月20日、新たな経済対策について「103万円の壁」の引き上げを明記することで合意しました。国民民主党の玉木代表は自身のSNSで「ついに『壁』が動きました。皆さんの1票が30年動かなかった壁を動かしました」と投稿しています。 成果を挙げた声がある一方で、特別区長会の会長を務める新宿区の吉住区長は「壁」の見直しによる税収の減少への懸念を示し「行政サービスの維持が難しくなる」と訴えています。20日の会見で吉住区長は「区が独自の判断で提供してきた行政サービスを継続することは難しく、取捨選択しなければならない。検証が不確かな中で結論を急ぐのはやめてほしい」と訴えました。吉住区長によりますと、年収の壁が178万円に引き上げになった場合、23区全体で住民税の税収はおよそ2400億円の減収、新宿区に限るとおよそ85億円の減収になるということです。 「壁」の見直しによる減収に対する懸念の声は、葛飾区でも上がっています。葛飾区の青木区長は21日の会見で「葛飾区の試算では、90億円ぐらい減収になるのではないか。これは大変大きな金額。もちろん、国でもいろいろな議論が検討されるとは思うが、単純に90億円減りますよでは運営が非常に困難になる。状況を見つつ、必要があれば要請もしたい」と懸念を口にしました。 “国民の所得を上げる”とした政策を巡って議論が活発化する中、自民・公明・国民の3党は税制改正に向けて、今後、制度の詳細などを協議していく方針です。