英語が小5から正式教科に(1)手探り続く指導法、現場教員が感じる課題とは
2020年度から、小学校の5・6年生は、英語が算数や国語と同じ「教科」になる。中央教育審議会の特別部会が8月に示した、次期学習指導要領改定に向けた審議の中間報告に明示された。移行期間として、2年後の2018年度には一部で先行実施される予定だ。教科になるに伴い、授業時間も確保しなければならず、教科書も新たに作ることになる。英語指導に長けた教員も小学校には少なく、育成しなければならない。教育現場ではどのような対応が進んでいるのだろうか。
そもそも教科になるとどう変わる?小学校英語のこれまで
小学校の英語教育は2011年度に必修化された。小学校の5・6年生を対象に年間35単位(週に1コマ・45分程度)、聞く・話すを中心とした授業を行うことになった。ただ、この授業は「外国語活動」と呼ばれ、英語に親しむことが主な目的だった。教材はあるが、教科書はなく、テストなどで評価もしない。 しかし、こうした指導法で課題も見られるようになった。小学校5、6年生で外国語活動をしているにも関わらず、中学校で読み・書きに抵抗を感じたり、つまずいたりする子どもが出てきたのだ。外国語活動でほとんど文字を意識させない指導が行われているのが原因と見られた。文部科学省が2014年度に行った「小学校外国語活動実施状況調査」では、「小学校の外国語活動でもっと学習したかったこと」をたずねる質問に、約8割が「英単語や英文を読む」「英単語や英文を書く」と回答した。 このことなどを受け、2020年度以降、次期学習指導要領の中間報告では、教科になった場合の授業の方針などが示された。 1読む・書くことの指導も行う 2小学校で600~700語程度を覚える。語順などの文構造なども学ぶ 3これまでの倍にあたる年間70単位授業を行う──などだ。 加えて教科になることにより、 ・教科書を使う ・成績の評価をする といった必要も生じることになった。ただ、こういったことを実現するためには様々な課題がある。