ビットコインの今後の立ち位置は、CBDCとの関係が影響:野口悠紀雄氏が基調講演【BITCON TOKYO 2024】
ビットコインに立ち位置に影響する中央銀行デジタル通貨(CBDC)
野口氏は、2014年ごろの非常に早い時期からビットコインに注目していた。野口氏を最も驚かせたのは、国家や銀行などあらゆる中央集権的な組織がないままでも、通貨の発行、運用ができることだった。 そして野口氏は、ビットコインが非効率な国際間送金の仕組みを変革し、世界の経済活動を大きく変えていくと考えた。個人間のマイクロペイメントが実現することで、独立した個人がフリーランサー的に仕事を進めていくような社会に発展していくと想像した。 「これは社会に非常に大きなインパクトを与え、人類の歴史上稀に見る大革命が起こると感じた」 ところがビットコインは、その思惑とは違った方向に進化していく。送金は「取引所」という中央集権的な組織を経由することになり、国家は取引所を通じて課税や規制ができるようになった。また、ビットコインの価格の変動が非常に大きく、決済手段には向いていなかったことも、当初の想定とは違っていた点だ。 野口氏は、10年後のビットコインのポテンシャルをどう考えているのだろうか。今後の円の為替レートのトレンドと合わせて予想を語った。 「円の為替レートの変動は、米国の利下げの過程が大きな要因となる。先日、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを決めたが、現在の為替レートはすでに織り込み済みで大きな影響はなかった。今後の予想は難しいというのが正直なところだ」 そして、今後のビットコインの立ち位置に関係してくるのは、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)だと指摘する。 「CDBCが発行されれば、金融システムが大きく変わり、特に地方銀行に大きな影響を及ぼすだろう。技術的には可能でも、そうした問題によって発行が難しいのだと考えている。法定通貨に対して価格を一定に保つステーブルコインの動向や、CBDCとの関係の中で、ビットコインがどのような位置付けを見出していくかが、これからの課題となるだろう」 |文:橋本史郎|編集:CoinDesk JAPAN編集部|写真:橋本史郎、CoinDesk JAPAN編集部
CoinDesk Japan 編集部