「感情移入できる」映画『ゴジラ-1.0』が『シン・ゴジラ』に初速で勝利した「VFX以外の理由」
11月17日~19日の『国内映画ランキング』(興行通信社提供)が発表され、『ゴジラ』シリーズの70周年記念作『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』が週末3日間で動員26万7600人、興収4億2100万円を記録し、3週連続で1位を獲得。累計成績は動員184万人、興収28億5000万円を突破した。 【お似合い】すごい…!「まるで夫婦」神木隆之介と浜辺美波が阿吽の呼吸で……! 今作では『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズをはじめ、『永遠の0』『寄生獣』など数々の話題作を生み出したヒットメーカーの山崎貴氏(59)が監督・脚本・VFXを手がける。戦後の日本を舞台に、焦土となって「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現。ゴジラはその圧倒的な力で戦後の日本を「負(マイナス)」へとたたき落とし、戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して抗う術を探る。 日本版の『ゴジラ』は30作目となるが、前作『シン・ゴジラ』(’16年)は『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズなどで知られる庵野秀明氏(63)が総監督を務めた。興行収入82.5億円の大ヒット作となり、国内の映画賞を総なめにしている。 「10月27日、都内で山崎氏と庵野氏はトークショーを行いましたが、山崎氏は打診があった時の心境を『「シン・ゴジラ」のあとかよー!と思った』と振り返りました。庵野氏の次なら誰でもそう思うでしょうし、ヒットするか不安になるでしょう。 庵野氏は徹底的に自身のオリジナルのゴジラ像を追及。手のひらの向きをシリーズでは初めて上にし、動作はモーションキャプチャーで狂言師・野村萬斎(57)の動きをスキャン。登場人物のセリフを早口で徹底的に詰め込むなど、斬新な『ゴジラ』を作り上げたのが大ヒットの理由でした。前作のインパクトが強すぎたがために、山崎版はコケることはなくとも、業界内ではそこまでのヒットは期待されていませんでした」(映画ライター) そして、今月3日に山崎版の『ゴジラ』が公開され、シリーズのファンたちがジャッジすることになった。結果、なんと公開初日から3日間の対比では庵野版を上回る動員・興収を記録するロケットスタートだったのだ。庵野版は夏休みシーズンの公開とあって初週以降に数字を伸ばし、公開20日間で興収38億円を突破している。さすがに山崎版はそこまでの伸びはな位かもしれないが、しっかりと結果を出して配給元・東宝の期待に応えた。 「山崎版は主人公に神木隆之介さん(30)、ヒロインに浜辺美波さん(23)を起用しましたが、2人は今年4~9月に放送されたNHK連続テレビ小説『らんまん』でも夫婦役を演じていただけに、公開前から話題になっていました。 庵野版は主演の長谷川博己さん(46)、竹野内豊さん(52)、石原さとみさん(36)、高良健吾さん(36)、高橋一生(42)、亡くなった大杉漣さんら豪華キャストを起用しましたが、とにかくセリフが早く、おまけに専門用語も多かった。 山崎版は安藤サクラさん(37)、山田裕貴さん(33)、佐々木蔵之介さん(55)、吉岡秀隆さん(53)ら演技派キャストが中心で、じっくりドラマを見せてくれました。さらに、山崎監督得意のVFXがふんだんに使われましたが、音楽なども含めオーソドックスなゴジラに近い作りだったことが、ファンに受け入れられたのではないでしょうか」(映画業界関係者) また、庵野版の舞台は現代日本の東京。首都圏を壊滅させられた日本の官僚たちが威信をかけ、米軍の力も借りて最新技術を結集させた化学兵器でゴジラに立ち向かったが、山崎版ではさらに観客が感情移入できる設定なのだという。 「戦後、日本に自衛隊はまだなく、日本を統治していた米軍も協力せず。そこでゴジラに対峙することになったのが元海軍で生き残った面々でした。さらに、神木が演じる特攻隊の生き残りである主人公も、国のために対峙することを決意します。 庵野版はスクリーンの中で起こることに『へ~そうなんだ』と感心すること多かったのに対して、山崎版は『それじゃ、ゴジラ倒せないよ!』と思わせるなど、ツッコミどころ満載だが感情を動かされます。最後はしっかり物語を締めつつ、今後の『ゴジラシリーズ』に期待を抱かせてくれます」(同) 『ゴジラ』シリーズが好きな方は、ぜひ庵野版と山崎版を見比べていただきたい。
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