「プレデター:ザ・プレイ」狩るか、狩られるか――
ファンには嬉しい「プレデター」シリーズとのリンクあり
本作を楽しむためにこれまでの「プレデター」シリーズを見ておく必要はなく、独立した作品として創られている。その証拠に、映画の原題は「Prey(プレイ)」だけで「プレデター」という文字が入っていない。その前提を踏まえたうえで、知らなくてもまったく問題ないがファンには嬉しいオマージュもある。 まず、今回のプレデターが被っているマスクは、映画『プレデターズ』(2010)で、主人公が見つけたコンテナのようなもの中で死んでいるのが見つかった、リバーゴースト・エイリアンの頭蓋骨で作られたもの。 また劇中で、プレデターがウサギを追うオオカミを見つけ、オオカミと戦って勝利した後、その頭部を切り落として頭蓋骨にするのも、ファンにはニヤリな行動だ。というのも、「プレデター2」(1990)のプレデターの宇宙船の中に、仕留めた獲物の頭蓋骨がズラリと展示されたコーナーがあったから。そうか、こうやって頭蓋骨にして宇宙船に持ち帰るのかと思うと興味深い。 そして、あるシーンで登場する「ラファエル・アドリーニ 1715」と記された銃も、おなじみのアイテム。「プレデター2」にもこの銃が登場し、これをモチーフにしたコミック「プレデター1718」も描かれている。
監督は「10クローバーフィールドレーン」のダン・トラクテンバーグ
監督・原案は、映画「10クローバーフィールド・レーン」(2016)のダン・トラクテンバーグ。本作でもオリジナルな発想のストーリーで唸らせてくれる。本作の後は、大ヒットSFドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のシーズン5(来年配信予定)の第1話を監督。本作は、今後の新企画が気になる監督の話題作としても見ておきたいところ。 主人公ナル役のアンバー・ミッドサンダーはリーアム・ニーソン主演のアクション「アイス・ロード」(2021)などでも活躍し、本作の後は、ニコラス・ケイジ演じる主人公が、みんなの夢に現れるという異色の映画「ドリーム・シナリオ(原題)」に出演。また、人気アニメの実写ドラマ化シリーズ『アバター:伝説の少年アン』(2024~)にも出演している注目株だ。 また、特典映像も充実。映画のメイキングや、ダン・トラクテンバーグ監督自身の解説付きの未公開シーン、スタッフ&キャストの座談会などが収録されている。配信では見られない、Blu-rayならではのコンテンツの数々も必見だ。 文=平沢薫 制作=キネマ旬報社
「プレデター:ザ・プレイ」 ●2022年/アメリカ/本編100分 ●監督:ダン・トラクテンバーグ ●出演:アンバー・ミッドサンダー、ミシェル・スラッシュ、ダコタ・ビーヴァーズ ほか
キネマ旬報社