先発ピッチャーの理想は今も昔も完封、完投だ。その先に“エース”の座がある【張本勲の喝!!】
エースがいないのは分業システムの弊害だ
金田さんとまでは言わないが、エースと呼べるピッチャーにもっと出てきてほしい
ロッテのドラフト1位、佐々木朗希のブルペン投球を春季キャンプで見たが、高卒のピッチャーでまたすごいのが出てきたなと感じた。私が見たのは2日間だけで、ブルペン投球といってもキャッチャーは中腰の状態だったし、ロッテの吉井理人投手コーチに聞いたところ、どちらも「今日は球がばらついている」ということだった。それでもしっかりと指に掛かったときのボールの勢いはかなりのものだった。 私はこれまでにも高校出の素晴らしいピッチャーを何人も見てきている。真っ先に思い浮かぶのは、私と同じ東映で活躍した尾崎行雄だ。快速球で鳴らした尾崎は浪商高を中退して17歳でプロの世界に飛び込んできたが、1年目の1962年にいきなり20勝を挙げた。ほかにも池永正明(元西鉄)、森安敏明(元東映)、江夏豊(元阪神ほか)、松坂大輔(現西武)、ダルビッシュ有(現カブス)、田中将大(現ヤンキース)、大谷翔平(現エンゼルス)といった名前が挙がるが、私の見立てでは佐々木朗は尾崎に次ぐ2番目の素材だ。ストレートの最速は163キロだというが、下半身を鍛えればまだまだ球速は伸びていくだろう。フォークやスライダーもいいと聞くから、今から本当に楽しみだ。 ちなみにランクをつけるなら3番目が大谷、4番目が松坂、5番目が田中になる。大谷はピッチャーとしてのスケールは大きかったが、日本には5年しかいなかったし、その5年目はケガもあってろくに投げていない。アメリカに行ってからも手術を経験している。本物のエースというのは7年、8年と結果を残すことで初めて監督やナイン、ファンに認められるものだ。 その点で松坂は高卒1年目から素晴らしい投手だったが・・・
本文:2,582文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール