六回、阪神・藤川球児新監督が視察する中で3ランを放った前川右京（撮影・松永渉平)

（みやざきフェニックス・リーグ、阪神8―6DeNA、18日、ひむか）〝球児虎第1号〟で一発回答や！！　阪神はDeNAに8―6で逆転勝利。六回に前川右京外野手（21）が豪快な逆転3ランを放った。前日17日に視察に訪れた藤川球児新監督（44）からの訓示で名指しで受けたゲキに即応した一撃だ。若虎のアピール合戦となり、新指揮官は「最高ですね」とご満悦だった。 【写真】手を伸ばすファンに応え…自身もギリギリまで背伸びをしながらファンサービスに努める阪神・前川 たった1日で、新監督の思いに応えた。前川が放った弾丸ライナーが、右翼フェンスを越える。今季のブレークに甘んじることなく、さらなる高みを予感させるアーチを架けた。 「三振した球を仕留められた。姿勢をまっすぐにして、左ピッチャーだったので、とにかく（体が）めくれないように踏み込んでいこうって決めていました」 相手先発は石田健。通算39勝と1軍経験豊富な左腕を捉えた。一回は左飛、四回は見逃し三振に倒れて迎えた六回。井上の適時打で2―3と詰め寄り、なお無死一、二塁で打席へ。カウント1―1から振り抜いた打球はスタンドへ一直線。力強く引っ張った打球が失速することなく伸びていく、前川らしい一打だった。これが藤川新監督の就任が発表されてからチーム初本塁打となった。 宮崎で行われているフェニックス・リーグに視察に訪れた新指揮官は前日17日、試合前のミーティングで若虎中心のチームに初めて訓示を行った。前川は井上とともに名前を挙げられ「うかうかしてられへんぞ」と声を掛けられた。 同日の楽天戦は三回裏で降雨ノーゲームとなり迎えた翌日。前川は「のんびりせずにちゃんと取り組めということを言ってもらったので、レベルアップできるように頑張りたい」と気持ちを新たに試合へ。そして新時代の中軸として期待される21歳若虎は、〝一発回答〟を出した。 スタンドの来賓室から視察した藤川新監督は「いま彼が取り組んでほしいことというのを、一発で答えを出してくれたっていうのはうれしかった。素晴らしい」と称賛した。1軍では進塁打が求められた無死一、二塁の場面。17日の試合では一回無死一、三塁で二ゴロを放って先制点につなげたが、指揮官が教育リーグで求めていたもののは違った。それを理解した一撃に「思い切って振ってくれた。やっぱり若々しいし、すっごい勢いを感じましたよね」とうなずいた。 前川だけではない。井上が2本の適時打で2打点、野口が本塁打、高卒ルーキーの山田が決勝適時打と若虎たちが躍動し、11安打で8得点。「最高ですね。もう正直言うことがないというか、すごく未来を感じさせてくれるような攻撃」と目を細めた。