’19センバツ盛岡大付/下 投手陣、成長に手応え 「復帰組」主力打者も飛躍期す /岩手
<第91回選抜高校野球> 「パシッ、パシッ」。気温20度を超す沖縄の青空の下、ミットの音が響いた。3月上旬、盛岡大付の沖縄合宿。投手陣が横一列に並び、一球一球フォームや精度を確かめながら投げ込んだ。 センバツ切符を引き寄せた昨秋の公式戦。全12試合で背番号1をつけたエース左腕、阿部秀俊投手(2年)が9試合に登板して防御率1・43をマークし、東北大会準優勝に大きく貢献した。だが一方で、2番手ピッチャーの育成という大きな課題も残った。他の投手たちはこの冬、「阿部に追いつき、追い越せ」と弱点の克服に取り組んだ。 昨夏の大会での先発経験もある本格派右腕の木内優成(ゆうせい)投手(2年)は「良い思い出がなかった」と昨年を振り返る。140キロ近い直球が持ち味だが、制球難から甘い球を打ち込まれ、活躍できなかった。この冬はフォームを安定させるため、筋力トレーニングを取り入れながら、体の柔らかさを失わないよう練習後のストレッチを徹底。打たれても気持ちを切り替えられるよう、メンタルトレーニングにも力を入れた。 同じく右腕の大谷智琢(ともたか)投手(2年)は「投手一人一人が責任を持ってやらないといけない」と気を引き締める。自らは投球を安定させるため、冬場にスクワットを毎日とり入れ、下半身を強化。筋力トレーニングで広背筋も鍛えた。直球は最速139キロまでアップ。「速球などに生かされ、切れも出てきている」と手応えを感じている。 一方、「打ち勝つ野球」の要となる打撃陣は、昨秋にけがから復帰した主力打者が調子を上げている。 「センバツでは(好機に)自分が打って決めたい」。半月板損傷で昨秋の県大会まで戦列を離れた小野寺颯斗(はやと)選手(2年)はこの冬、日々ベンチプレスに取り組み筋力をアップ。守備面でも毎日のノック練習でプレー感覚を研ぎ澄ました。 右肩脱臼から復帰した平賀佑東(ゆうと)選手(2年)は、甘い球を確実に仕留められるよう、グラウンドで1時間、寮でも30~40分ほど、ミートを意識した打撃練習に力を注いだ。昨秋の県大会準決勝・大船渡戦で最速157キロの佐々木朗希投手(2年)から長打3本を放ったが、東北大会では沈黙。「チームに貢献できなかった」悔しさを冬の練習にぶつけてきた。平賀選手は「どんなに強いチームが相手でも『打ち勝つ野球』をしていきたい」と意気込む。 2年前。春、夏とベスト8に入って甲子園を沸かせた先輩たち。その「憧れ」を飛び越えて紫紺の優勝旗を手にするため、選手たちは心を一つにして前へ進む。【日向米華】