【オーストラリア】豪小売M&A件数32%減、健康・美容は好調
会計大手グラント・ソントンが22日に発表した小売業界のM&A(企業の合併・買収)報告書によると、オーストラリアで2022年7月~23年12月のM&A取引件数は231件となり、前年同期比で32%減少した。金利上昇と厳しい営業環境が投資意欲に打撃となった。ただ、健康や美容、アパレルで高額な取引が目立ち、経済の不確実性が高い中でも投資家にとって小売業界の魅力が底型いことが示された。【NNAオーストラリア編集部】 グラント・ソントンの担当者はNNAオーストラリアの取材に対し、「オーストラリアの小売業者は安定性、成長の可能性、適応性を兼ね備えており、個人投資家と機関投資家の両方にとって魅力的だ」との見方を示した。 M&A取引額は、全体で133億5,000万豪ドル(約1兆3,310億円)となった。 部門別の取引額では、健康・美容が合計65億豪ドルで最大となった。取引額が最大だった案件はフランスの化粧品会社ロレアルによるスキンケアブランド「イソップ」の買収で、37億豪ドルだった。また飲料大手キリンホールディングスによるビタミン剤大手ブラックモアズ買収(19億豪ドル)も同部門の取引額を押し上げた。 同担当者は、「キリンや花王(スキンケア商品製造事業者ボンダイサンズ買収)などのニュースに触発され、日系企業にアプローチする同部門の企業が出てくる可能性もある」と分析した。 ■買い手の7割は国内企業 取引額が2番目に大きかった部門はアパレルで、21億豪ドルだった。米プライベートエクイティ(PE)企業アドベント・インターナショナルによる高級服飾ブランド「ジマーマン(Zimmermann)」の買収が17億豪ドルで最大となった。 M&Aの買い手のうち、国内企業によるものが161件と全体の70%を占めた。海外企業は63件と27%だった。地域別では、オーストラリアを含むアジア太平洋地域の買い手が全体の75%となった。