王毅氏の早期来日で日中外相一致、関係進展につなげる方向性確認…EEZ内のブイ設置発覚など影落とす
【北京=上村健太】25日に行われた岩屋外相と中国の王毅(ワンイー)外相(共産党政治局員)の会談は、王氏の早期来日など相互交流を促進して今後の関係進展につなげる方向性が確認されたが、日本の排他的経済水域(EEZ)内で中国のものとみられるブイの設置が新たに発覚するなど、両国間の懸案が影を落としている。 【図】一目でわかる…ブイはどこで見つかったか
「幅広い内容について大変率直かつ突っ込んだやり取りができた」
岩屋氏は会談後、記者団にこう振り返った。昼食会を含めた会談は当初予定よりも1時間長く行われた。「ハイレベル人的・文化交流対話」を含め、日中間で突っ込んだ意見交換が行われたのも、日本の対中感情と中国の対日感情がともに悪化の一途をたどり、両国関係改善の足かせになっていたためだ。12月に発表された日中共同世論調査では、中国側で日本の印象が「良くない」と回答した人が87%に上り、急激に悪化した。
日本側が今回、中国人のビザ(査証)緩和を発表したのは、中国政府が日本人に対する短期の訪中ビザ免除措置を再開したことへの答礼の意味合いもあるが、双方の人的交流を活発化させ、相互理解を増進させる思惑もあったためだ。王氏も同対話の席上、「近年、両国民の互いに対する好感度が低いことを重視しなければならない」と述べた。
日本側はこれまで、敏感な日中関係を日中韓3か国の枠組みを使って動かそうとしてきたが、韓国の政情が不安定化する中、2国間で関係改善を図る方向に傾いている。中国側が対日接近姿勢を強めていることも追い風で、外交儀礼上は王氏が今回、来日する番だったが、岩屋氏は自ら先に訪中のカードを切った。
日中両政府は今回、王氏の来年早期の来日で一致しており、来年中の李強(リーチャン)首相の来日につなげる構想を日本側は描く。首脳外交を活発化させれば、日中間の懸案を中国の最高指導部に打ち込みやすくなるとの期待が背景にある。
だが、安全保障や資源開発などの懸案を巡っては、減るどころか増える一方だ。