ヤクルト・奥川恭伸の980日ぶり涙の復活勝利をきっかけに開かれた同期会
【武田千怜のアナザーストーリー】 6月19日、東京都内某所。参加したメンバーが「エモい」と口をそろえた同期会が開かれた。参加者は、ヤクルト・大西広樹投手(26)、奥川恭伸投手(23)、長岡秀樹内野手(22)、武岡龍世内野手(23)。4人が焼き肉店に集まった。 【写真】「この2年という期間の中で…」と話すと言葉に詰まり、涙を流すヤクルト・奥川 4人は2020年の同期入団で、奥川がドラフト1位、大西は同4位、長岡は同5位、武岡は同6位。テーブルを囲んで、野球にとどまらず、時計やプライベートなどざっくばらんにトークした。同期会は今年2月の沖縄・浦添キャンプ時に初めて行われ、今回が2回目だったという。 楽しい時間を過ごし、奥川は「普段、一緒にいるときは何も思わないけど、やっぱり、試合をやっているときには『特別だな』って思いました。エモいなって。なんか、エモかった」と感慨深げに存在の大きさを吐露。長岡は「おもしろかったですよ。なんかエモいなみたいな」と笑った。「エモい」とは、感動がこみ上げてくるような、何とも言えない気持ちを表す若者言葉である。 同期会開催のきっかけは、奥川の涙の復活勝利だった。6月14日のオリックス戦(京セラ)。奥川が右肘痛などの度重なるけがを乗り越え復帰登板し、980日ぶりに白星をつかんだ。特別な1勝-。それは「特別」と語る同期とともに刻まれた。 同戦のスタメンには、「3番・遊撃」に長岡、「9番・二塁」に武岡が入った。同学年でもある2人は、守備で支えるだけでなく、長岡は1打点、武岡は2安打とバットでも援護した。5回1失点で降板した奥川に続き、2番手でマウンドに上がったのが、大西だった。5番・紅林、6番・宗、7番・杉本を3人でシャットアウト。好リリーフで復活勝利のバトンをつないだ。 試合後、奥川が「自分が苦しいときに、後ろを見渡したら、同期の2人がいて、他の先輩方もいて心強かった。この人たちと一緒なら大丈夫だと思って投げていた」と話せば、武岡は「スタメンで(同学年の)3人が出て、頑張れればいいなと思っていた。大西さんも投げて抑えて、こんな日はめったにないと思う」と声を弾ませた。〝めったにない日〟をきっかけに、「これはやるしかないでしょ」と同期会の開催が決定したという。 20年1月の新人合同自主トレーニングで同時にプロのキャリアをスタートさせて、今季で5年目を迎えた4人。「これからも一緒に頑張っていきたい」。同期で切磋琢磨(せっさたくま)し、ヤクルトの黄金期を築いていく。(サンケイスポーツ・ヤクルト担当)