【ひし美ゆり子】『ウルトラセブン』出演後を振り返るエッセイ集新版に寄せた思い
特撮ヒーロードラマの名作『ウルトラセブン』(1967~1968)に登場するウルトラ警備隊の紅一点・友里アンヌ隊員を演じた女優・ひし美ゆり子さんが、来る2024年6月10日に喜寿(77歳)の誕生日を迎える。 その記念企画として、2000年に同文書院から出版されたひし美さんのエッセイ集『アンヌとゆり子 隊員服を脱いだ私』が改訂新装版として発売されることになった。本書は『ウルトラセブン』終了後の自らの歩み、そして往年のセブンファンとの交流録や家族のエピソードなどをつづった底本の内容に、2024年現在までの出来事を改めて振り返った文章を大幅に追加してまとめられている。 気になる書籍の内容、また現在の思いについて、ひし美さんにお話をうかがった。 【関連画像】『アンヌとゆり子』カラー口絵掲載の魅力あふれるグラビアをチェック!(写真6点) ――『アンヌとゆり子 隊員服を脱いだ私』の改訂新版を出すことが決まった際の思いをお聞かせください。 私にとって思い出深い大切な本ですので、とても嬉しいです! ――この機会に、久々に本書を読み直してみたりなどはしたのでしょうか。 私が書いたページは、追加する部分を書く方が大変で、全部読み直す余裕はありませんでした。でも、対談に出て頂いた方々の中には、この四半世紀近くの間に亡くなられてしまったり、連絡がつかなくなってしまった方もいらして、時の流れを感じました。 ――本書を執筆していた当時、どんなことを考えながら作業していたかを覚えていますか。 『アンヌとゆり子 隊員服を脱いだ私』を書いたのは、初めての本『セブン セブン セブン』や『アンヌへの手紙』という写真集が出てから、まだ3年くらいでしたので、そちらとは違う、アンヌからちょっと離れた私自身を出せたら、と考えていたと思います。 ――執筆作業はどのようなスタイルで行われていますか。場所や道具、常に手元に置いておくものなど、何らかのこだわりがあるようでしたらお聞かせください。 パソコンに向かって、私のホームページのゲストブックや、ブログで当時の出来事を確認しながら、本に載せても良いよう直したり、書き加えたりしました。細かく書いておいて良かったなァ。 ――今回新たに追加された内容についてお聞かせください。前の刊行時から20年以上が経過しています。自身を取り巻く環境も様々な変化があったと思われますが、その中でも特に「これは絶対に入れておきたい」と思ったことは何でしょうか。 昨年亡くなってしまった無二の親友で東宝の俳優養成所で同期の若原啓子さんのことです。彼女の存在は私にとってとても大きかったんです。 ――『アンヌとゆり子』改訂新版の、ひし美さんお薦めポイントをお教えください。 どれもお薦めですが、追加した内容の中では、『ウルトラセブン』の監督のお一人、満田かずほさんとの対談かな。この本の中で、一緒にお話ししたかったんです。満田監督が撮った『ウルトラセブン』の映像を観ながら対談しました。 ――今回カバーを飾った写真(記事メイン写真)について、セレクト理由、また撮影時の思い出などお聞かせください。 東宝のカレンダー用に撮影した写真です。亡くなった父の遺品の中から出てきたんです。大事に持っていてくれたみたいで、カバーにはこれを使いたいと思いました。 ――『ウルトラセブン』、そして友里アンヌの存在感は、時間が経つにつれてますます大きいものとなっています。その事実を踏まえて、改めて作品やキャラクターの魅力についてどんな印象を抱かれているか、お聞かせください。 アンヌは芝居というよりも、私の素も出ながらできた人物だったのが良かったのかもしれません。アンヌ隊員をやって良かったのかどうか、私にはわかりませんが、そのおまけみたいなことでいろいろな仕事をさせて頂いたことに感謝したいです。 ――この度喜寿を迎えられるわけですが、これまでの歩み、また今後についてどんな思いを抱かれていますか。 喜寿というと、親友の若原啓子さんが「チヤコの喜寿は私がお祝いをしてあげるからね」と言っていたことをすぐに思い出してしまうんです。 『アンヌとゆり子 隊員服を脱いだ私』を出してから後の約四半世紀、24年間はあっという間に過ぎちゃった感じがします。コロナ禍で思うように動けなかった3年間が抜けちゃって、余計に短く感じるんだと思います。 ――最後に、ひし美さん/アンヌを愛するファンの皆さんへのメッセージをお願い致します。 最初の本が出た頃にお買い逃しだった方も、当時買って頂いた方も、ぜひこの機会に手にして頂ければと思います。『ウルトラセブン』が60周年を迎える頃に私が元気だったら、またお会いしましょう! 【ひし美ゆり子 プロフィール】 東京都出身。1965年、東宝入社。1966年、映画『パンチ野郎』でデビュー。1967~68年、特撮TVシリーズ『ウルトラセブン』の友里アンヌ役で好評を得る。 1972年、フリーに。『鏡の中の野心』『忘八武士道』『好色元禄(秘)物語』(1975年、第一回映画ファンのための映画まつり・主演女優賞)などの映画作品のほか、『プレイガール』(1973~74年)『必殺仕切人』(1984年)などTVにも多数出演。1997年、初のエッセイ集『セブンセブンセブン -わたしの恋人ウルトラセブン』(小学館)を上梓、その飾らぬ素顔とユーモアで新たなファン層を獲得。 近刊に『ダンとアンヌとウルトラセブン』(小学館)、『ひし美ゆり子写真集 All of Anne:2021』『days of ANNE 1967-2008』『ひし美ゆり子写真集 YURIKO 1967-73』(以上、復刊ドットコム)など。 ※満田かずほさんの「かずほ」の正式表記は禾に斉
伴 ジャクソン