石井竜也「アートにいちばん悪い影響を与えているのが“コンプライアンス”」
TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。今回のお客様は、ミュージシャンの石井竜也さんと常連客の東京藝術大学学長・日比野克彦さん。ここでは、石井さんが“コンプライアンスがアートに与える影響”について持論を展開しました。
◆コンプライアンスが与える影響
石井:(日比野さんは)教育の現場にいらっしゃるからよくわかると思うんですけど、“コンプライアンスがあるからできないこと”って多いじゃないですか。アートにいちばん悪い影響を与えているのが“コンプライアンス”だと思うんですよ。 日比野:ほう。 石井:だって、あまりにも“やっちゃいけない”“言っちゃいけない”“考えちゃいけない”ことだらけで。そうなると、アートって崩れますよね。だって、やっちゃいけないことだらけなんだから。アートにまでコンプライアンスを持ち込んじゃうと、アートは衰退するんじゃないかなって思いますよね。 日比野:そうだね。個人の考えってそれぞれ違うので、コンプライアンスのような“社会的な責任”に対しては、まだまだ議論されているところなんだと思うんだけど。 美術とは別の話で“(子どもに)1人でお留守番をさせちゃダメ。親のコンプライアンスが問われるから”みたいなニュースを観たんだけど、正直“どういうこと?”と思って。 石井:両親が2人とも働かなかったら、子どもを育てられない家庭だってあるわけじゃないですか。そのときに、2~3時間ぐらいどうしても子ども1人で家にいないといけない時間が出てきちゃったりする。子どもを見てくれる人にお金を払えるだけの経済力があればそうするだろうけど、それもできないとなると、どこかに預けることになるじゃないですか。 それで、そういう子ばっかり預かる施設ができたりすると“今度はこれができないからこういうものを作らなきゃ”って、まるでもぐらたたきゲームみたいになっちゃうような気がして。それでは、良い方向にはいかないんじゃないですかね。 日比野:そうすると結局“何も考えるな。大丈夫、AIがすべて答えを出しますから、あなたはじっとして生きていてください”みたいな話にもなっちゃうじゃないですか。 石井:そうですね。しかも、AIが「地球にいちばんよくない生物は人間だ」って言ったらどうするんですかね(笑)。俺たち、いなくなっちゃいますよね。 (TOKYO FM「TOKYO SPEAKEASY」放送より)