〈激動のオフ〉5球団で監督交代のプロ野球「コーチのなり手がいない…」深刻事情に見る“セカンドキャリア”のリアルと「求められる指導者像」
コーチのなり手がいない?
最近は選手が現役引退後に現場に残らないというケースも増えているようで、「コーチのなり手がいない」という話も耳にします。現場に残ったとしても数年後にクビになり、さらに歳を重ねた状態で社会に出ることに不安もあるでしょう。以前に比べてセカンドキャリアも多彩になっていて、コーチという仕事への魅力や金銭的なものも含めて、選択肢が多様化したということだと思います。 野球選手って現役を辞めるとき、建前では「やり切った」というようなことを言っていても、実際にはやはり寂しいんです。小さい頃から続いてきた日常が突然なくなって心にぽっかりと穴が開いてしまう。今まで自然に感じていたドキドキやワクワクが消えて、悩んだり苦しんだりすることからも解放されてしまうのは本当に寂しいものです。 この先どうしよう、と考えた時、今までと同じプロ野球のカレンダーを生きながらも、自分でプレーするわけではなく、選手のことを考えて過ごすというのは同じようでいて、全く別のものです。選手生活の延長でできるものではないし、若い選手の成長を心から見守りたい、という思いがなければできないことだと思っています。
指導者に必要なもの
ここ数年は野球の現場も大きく変化していて、データを読み解いて伝えるということも求められるし、若い選手の気質も昔とは違うでしょう。コーチに求められるものも変わってきていると思いますが、やはり大事なのは選手をしっかり見て、理解して、コミュニケーションを取るということだと思います。いくら数字を読み解くことができても、大切なのは選手と向き合う中でそれを取捨選択して、どんな言葉で伝えるか。成功するために何が必要かという判断能力や、思い通りに行かない時の対応力が求められるのだろうと思っています。 実際にやってみないとわかりませんから、もし自分がコーチになった時に全然違ったわ、と思うかもしれませんけどね。とはいえ、指導者は生半可な気持ちでできるものではないことは確か。信念を持って取り組むだけの強さが必要な仕事だということは間違いないと思います。
(「プロ野球PRESS」五十嵐亮太 = 文)
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