西武辻と中日森の新監督2人は成功するのか。球界大御所の辛辣な意見は?
一方、同じく西武出身の中日・森新監督に関しての広岡氏の評価は厳しかった。 「森は現役時代、確か先発からリリーフに配置転換をしてから結果が出た。だが、彼は指導者として野球を知らない。白井オーナーが落合、森を可愛がっているのかもしれないが、義理人情は、勝負の世界では通用しない。本人は、つなぎの監督と言っているらしいが、そう長くはないだろう」 森新監督は、落合監督時代の2004年から“右腕”として丸投げされた投手部門をとりまとめてきた。4度リーグ優勝したその中日の黄金時代は、投手力を中心とした守りの野球だったが、その中心を構築したのは森新監督のヘッド、投手コーチとしての手腕だった。また現場だけでなく、ドミニカの外国人ルートを確立するなど、フロントの仕事も器用にこなして、チームの編成部門も支えてきた。そういう森氏が監督になるのは異例かもしれないが、広岡氏の厳しい目から見れば、コーチと監督の仕事は違っていて、必ずしも名コーチが名監督になるとは言えないと危惧するのである。実際、代行監督としては、15勝24敗の成績で、チームは史上初の4年連続Bクラスとなった。 これで来季の12人の監督のうち、元西武組は、工藤監督、ロッテの伊東勤(54)、辻新監督、森新監督と4人になった。西武黄金期の“遺伝子”を持つ監督に求められているものは、勝利のレシピである。そして、そのノウハウを持っている、と見込まれたわけである。その勝利のレシピを教え込んだ広岡氏の2人の新監督への評価は、対照的なものになったが、彼らが来季どんな手腕でチームを再建するのか、この秋のキャンプ指導から注目が集まる。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)