自然への悪影響、全国10計画中で1位 三重・松阪蓮ウインドファーム
大型風力発電、日本自然保護協が分析 反対運動展開する地元対策委、明らかに
三重県松阪市飯高地域で進む風力発電所建設計画への反対運動を展開する市民団体「まつさか香肌峡環境対策委員会」(成岡篤史委員長、10人)は5日、日本自然保護協会(土屋俊幸東京農工大学名誉教授、東京都中央区)が発表した「大型陸上風力発電計画の自然環境影響レポート2024」で、反対する「三重松阪蓮ウインドファーム発電所」計画が「全国で特に自然環境への影響の面で強い懸念がある陸上風力発電事業計画」の上位10計画中1位となったことを明らかにした。 同レポートは、2023(令和5)年4月に同協会が独自発表した陸上風力発電事業解析レポートに新たにデータを加え、大型風力発電計画による自然環境への影響を詳細に分析したもの。今回は今年6月までに計画された全国373件の陸上風力発電事業の環境影響評価図書(アセス図書)を対象に、個別事業ごとの環境配慮に関するランキングを作成。特に悪影響のある事業上位10件をリストアップした。 三重松阪蓮ウインドファームの発電所計画については、事業エリア内にイヌワシ、クマタカの生息の可能性の他、猛禽(もうきん)類の渡りのルート、生物多様性重要地域(KBA)、特定植物群落を含むため全域が自然公園の計画となっていることなどから、「全国でも圧倒的に自然環境への配慮を欠いている事業」と判断した。 今回のレポート公表を受け同委員会は、引き続き事業者に事業の白紙撤回を求めていくとともに、関係行政各機関に対して、地域住民の声を反映してもらい引き続き慎重な対応をお願いしたいとしている。 同計画を巡ってはこれまで、一見勝之知事や環境省などから事業者の計画段階環境配慮書に対し「計画の中止または抜本的な見直し」を求める意見書が提出されている。また、22(同4)年10月には松阪市議会が「飯高地域の風力発電所建設計画反対に関する請願」を採択し、地域住民などからも事業の白紙撤回の要望が出されているが、いまだ白紙撤回されていない。