初の公募、子供役者熱演 砺波・出町歌舞伎曳山祭が開幕
●西町7年ぶり上演 富山県指定無形民俗文化財「出町子供歌舞伎曳山(ひきやま)祭」は29日、砺波市中心部で開幕した。当番町の西町が初めて公募した町外の子供役者3人を含む6人が演目「奥州安達ケ原三段目」で親子の情愛や誇り高い武士を熱演し、230年以上続く伝統芸能に大勢の観客が拍手や掛け声を送った。 出町子供歌舞伎は出町神明宮の春季祭礼で、東、中町、西町の3町が毎年持ち回りで担当する。西町はコロナ禍の影響で中止が続き、2017年以来の上演となった。少子化の影響で、砺波市出町小を通じて子供役者を公募し、役者は地元の3人、公募の3人いずれも女子児童となった。 「奥州安達ケ原三段目」は平安時代に東北で勢力を築きながら、朝廷の命令を受けた源頼義・義家父子に滅ぼされた安倍一族の安倍貞任(さだとう)・宗任(むねとう)兄弟とその家族の物語。3人の子供役者が一人二役をこなして観客を魅了した。 山下真奈さん(出町小4年)は、昨年も出演した姉の真央さん(5年)とともに公募で舞台に立ち、安倍宗任と貞任の妻袖萩(そではぎ)を演じた。真奈さんは「お姉ちゃんと出演できてうれしい。卒業までにもう一度出たい」と伝統芸能継承に意欲を示した。 夕方の3町の曳山が勢ぞろいする豪華な舞台は、夏野修市長も見学した。 30日は5カ所で披露する。5月3日はチューリップフェア会場の砺波市文化会館で特別公演が行われる。 ●仏の男性、娘とお練り 出町子供歌舞伎曳山祭には、当番町の西町でフランス出身のニコラ・ベイヤーさん(43)が、次女で子供役者の庄田悠眞(ゆま)さん(砺波市出町小3年)と参加した。ベイヤーさんは紋付き袴姿で街を練り歩き子供歌舞伎をアピールした。 フランス語講師のベイヤーさんは南砺市出身の妻奈都紀さん(43)とともに西町で暮らしている。娘の出演が決まり、親として参加した。上演前に街を歩く「お練り」や悠眞さんの出演の際は舞台に持ち上げる裏方役を担った。 悠眞さんは「お父さんが付き添ってくれてうれしい」と喜んだ。ベイヤーさんは広上町の夜高行燈(あんどん)制作や曳き回しにも参加予定で「初めて紋付き袴を着て、歴史と伝統を感じた。娘の成長を見れてよかった」と話した。