【大学野球】人としての強さ…明大・宗山塁が「20年に一人の遊撃手」として高く評価される理由
鳥谷氏を上回る通算115安打
【10月21日】東京六大学リーグ戦第6週 早大2-0明大(早大2勝1分け) 6勝1敗1分け、勝ち点3の同率で迎えた明大戦。明大は2敗1分けで、勝ち点を落とした。 【選手データ】宗山塁 プロフィール・寸評 明大は第8週の法大戦で1敗を喫すれば、早大の春秋連覇が決まる。法大に連勝して、Vへの望みをつなぎ、早慶戦の結果を待つしかない(早大が慶大戦で連敗すればV決定戦)。 明大の主将・宗山塁(4年・広陵高)は「今日は勝てなかった。実力として、上回ることができなかった悔しさがある。法政戦も残っている。チームとしてやっていくしかない。連勝するために、勝負どころでの一本にこだわっていく」と、逆転優勝へ前を向いた。 この日は2安打を放ち、明大の先輩・中村豊氏(元阪神ほか)に並ぶ歴代8位タイの通算116安打。早大の遊撃手として活躍した鳥谷敬氏(元阪神ほか)の115安打を上回った。 「そこは、うれしいというか、光栄なこと。積み重ねてきた1打席1打席の結果です。欲を言えば、(初回の一死二塁で)先制点を挙げたかった(結果は右飛)。(思いは)そっちのほうが大きいです。まだまだ、見直すところであったり、成長できる余地はある。そこに目を向けてやっていきたい」 早大との3戦は13打数3安打(1打点)。ヒットゾーンへ飛んだ打球も、相手内野陣のシフトに阻まれるシーンが何度も見られた。遊撃手・山縣秀(4年・早大学院)は二塁ベース後方にポジショニングし、二塁手・梅村大和(4年・早実)は一、二塁間を詰めていた。 「打席に立ったときに(ポジショニングが)見えるので、気にはなりましたが、自分のスタイルは変えずにいきました。とらえることができれば、ヒットになる。打つべき球を打つ。誘い球に乗らない。ストライクからボールになる球をどう見極めるか、です」
「人間力野球」が土台
10月24日にはドラフト会議が控える。広島が1位指名を公表。12球団同時である、第1回入札での競合は確実と言われている。 「一番の良い評価をしていただければ、ありがたい。この日のために、やってきたと言っても過言ではありません。大事な日になる。明治からは浅利(太門、4年・興國高)らもプロ志望届を出している。皆で良い思いができればいい。ただ、リーグ戦は終わっていないので、気持ちを切らさないようにしたい」 あくまでも、チームがあっての自分を忘れない。明大・田中武宏監督はこの4年間の成長を語った。 「記録がすべて、物語っている。主将としての行動は(過去3年の主将である)上田希由翔(ロッテ)、村松開人(中日)、丸山和郁(ヤクルト)とそれぞれのカラーがある。宗山も独自の形で、チームをまとめてくれた」 宗山には不動の三番・遊撃というプレーヤーとしての高い能力だけでなく、寮生活で築き上げた明大の伝統「人間力野球」が、土台としてある。早大3回戦から3日後に「運命の日」を迎えるが「いつもと変わらず、やるべきことをやっていく。もう一度、法政戦に向けて準備していきたい」と、淡々と語った。 人としての強さ。宗山が「20年に一人の遊撃手」として、高く評価される理由である。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール