激励の汽笛(9月24日)
深い痛手を負った半島に、こんな追い打ちをかけるとは…。今年の元日、大地震に見舞われた石川県能登地方。8カ月余後の豪雨災害に、非情な天の仕打ちを恨む▼死者7人、行方不明・安否不明は6人に上り、50を超える集落が孤立している。輪島市では家屋が流され、14歳の女子中学生と連絡が取れなくなっている。悪夢としか言いようがない。数時間のうちに、濁流は暮らしをのみ込んだ。これからの郷土を担う若い命。どうか無事でいて。そして、あらためて誓う。「想定外」の言葉を決して忘れず、早め早めの対応を心がけようと▼13年もの間、災厄は執拗[しつよう]に追い打ちをかけた。わが県民は大きな揺れにおののき、津波は大勢の命を奪った。原発を制御できず、未曽有の複合災害に発展した。さらに4カ月後。会津地方を記録的な大雨が襲う。住宅が壊れ、道路や橋があちこちで断たれた。折れる心を、地域の皆で支え合った▼被災地の方々に伝えたい。「やんぬるかな」の嘆きは封印を。奥会津には、水害からたくましく復活した鉄路がある。困難を一つずつ乗り越え、今や国内外の乗客を運ぶ。激励の汽笛よ、山河を越え、空をわたり、能登に届け。<2024・9・24>