我が子の命日におにぎりを握る母 この日に「加害者たち」を提訴 集まった友人たちは二十歳に 福岡
FBS福岡放送
3年前、福岡県の私立高校に通う17歳の男子生徒が自殺したことをめぐり、継続的ないじめを行ったとして当時の部活動の上級生4人に対し、男子生徒の母親が損害賠償を求める訴えを起こしました。 提訴したのは、生徒が亡くなって3年となった3月10日でした。謝罪すらないという「加害者たち」へ悲しみと怒りをぶつける日として、我が子の命日を選んだ母の思いです。
息子の3度目の命日に、母はおにぎりを握っていました。 ■侑大(ゆうだい)さんの母親 「おにぎり大好きでしたね。やっぱり大きく作ってないと。」 塩だけのおにぎりにノリをまいた母のお手製おにぎりです。それを頬張ってから、剣道の朝稽古に励んでいたという侑大さん。亡くなってから3年の月日が流れました。
■母親 「侑大、おにぎり好きやったんよ。知らんかね?」 ■友人 「めっちゃ食べてましたよ。」 この日、侑大さんの自宅には友人たちが集まっていました。 ■友人 「2個で足りるかな、10個じゃなくていい?」 少年剣道で親しくなった友だちや、中学校の剣道部でともに汗を流した仲間たち。剣道で出会った友人はみんな、侑大さんにとって大切な存在でした。 ■友人 「本当にずっと優しい子でした。」 「剣道の時と普段の様子は別人のように変わるのですが、やっぱり優しい。」 ■侑大さんの母親 「ここに本人がいたら。亡くなったときもすぐに駆けつけてくれて、みんな泣いてくれて、こんな仲間がいるのに、なんで一人でいっちゃったのって。」
侑大さんは幼い頃から大好きだった剣道をさらに極めようと、2019年に進学した東海大付属福岡高校でも剣道部に入りました。 しかし、入部後まもなくして侑大さんを待っていたのは、剣道部の上級生からのわいせつな行為など悪質ないじめの数々でした。
侑大さんの自殺後に学校が設置した第三者委員会は、10件のいじめを認定しました。一方で「自殺の直接的な原因は特定できない」と判断しています。 侑大さんが17歳で命を絶ってから3年、同級生は20歳という節目を迎えました。 ■同級生 「それこそ20歳になって、みんなでお酒を飲んでってことがしたいなって話していたけれど、そういうのが、もうないなあと思うとやっぱり、どうにもやり場がない気持ちですね。」 二十歳の約束をかなえられず、同級生たちの心には大きな穴が空いていました。