【今見るべき新作映画】フランス人監督の幻の傑作が日本で劇場初公開
発見、感動、思索……知的好奇心を刺激する、映画好きな大人のための今月の新作を厳選! 【今見るべき新作映画】人間性を問う話題作『関心領域』ほか
『美しき仕事』
『ムーン・ライト』のバリー・ジェンキンスや『aftersun/アフターサン』のシャーロット・ウェルズら実力派の映画監督たちに多大なる影響を与えた、フランス人監督クレール・ドゥニの幻の傑作がついに日本で劇場初公開される。 主人公のガルーは、マルセイユの自宅で回想録を書いている。記憶は、目の覚めるようなブルーの海と空、そして乾いた大地が広がるアフリカのジブチへと飛んでゆく。その地で外人部隊の上級曹長を務めるガルーは、上官フォレスティエに憧れを抱きながら、彼の部隊を番犬のごとく守っていた。その平穏な日々は、美しい人気者サンタンの入隊によって狂い始める。
ガルーを演じるのは、『ボーイ・ミーツ・ガール』以来、フランスの鬼才レオス・カラックスの分身を演じてきた伝説ドゥニ・ラヴァン。美しく、仲間から慕われるサンタンに、『ネネットとボニ』等、ドゥニ作品の常連グレゴワール・コラン、上官フォレスティエに『小さな兵隊』のミシェル・シュポール。 アフリカで幼少期を過ごしたクレール・ドゥニは、褐色の肌を輝かせカラフルな衣装で踊る地元の人々の姿と、外人部隊の行進、訓練、修復工事に終始する彼らの“美しい仕事”を対比させながら捉え続ける。そしてモノトーンの軍服から覗く肉体美を観察し、羨望や嫉妬、欲望に歪むガルーの表情をすくい取る。 ガルーの緊張を見守ったラストでは、彼の爆発的エネルギーを浴びながら、4Kで蘇った“美しい仕事“との邂逅を歓ばずにはいられない。 『美しき仕事4Kレストア版』 5月31日(金)より、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下他全国順次ロードショー BY REIKO KUBO