区割り変更初の衆院選 候補者「新エリア」への浸透に躍起 広島4区や山口2区
15日に公示された衆院選は、小選挙区の区割り変更後で初の選挙となった。中国地方でも初日から、各立候補者が「新エリア」の票を取り込もうと駆け巡った。 【地図】広島4区と山口2区 広島4区は旧4区の東広島市と旧5区の呉市が合わさった。他に竹原、江田島市、熊野、大崎上島町が選挙区で、面積は旧4区の1・5倍、旧5区の1・8倍にそれぞれ広がった。 旧5区で当選6回を数える自民党前職の寺田稔氏(66)は呉、東広島、竹原市と熊野町の4カ所で出陣式。東広島市では、道路整備の促進などを盛り込んだ「東広島発展プラン」をアピールした。「広い選挙区をくまなく回る」と力を込めた。 旧4区から比例復活を含め2回当選した日本維新の会前職の空本誠喜氏(60)は、呉市の音戸の瀬戸公園を第一声の場所に選んだ。「呉の製鉄所や自衛隊の潜水艦を見ながら過ごしてきた」と、古里が呉市であることをPRした。 広島4区の選挙人名簿登録者数(14日現在)は38万9232人。呉市と東広島市で8割強を占める。寺田氏の陣営は「難しい選挙。旧5区以外の地方議員との連携がポイントだ」と引き締める。空本氏の陣営は与党との一騎打ちを踏まえ「自民党に反省を求める声の受け皿となる」とする。 山口2区も立憲民主党元職の平岡秀夫氏(70)と自民党前職の岸信千世氏(33)による与野党の一騎打ちとなった。両陣営が「鍵」とみるのが、今回から全域が選挙区に入り有権者が最多となる周南市だ。 同市は旧熊毛町が旧2区だった。同市の選挙人名簿登録者数(同)は11万5236人で岩国市の10万6686人を上回る。両者は地盤の岩国市で第一声を上げた後、周南市へ入った。 「周南でも多くの人に会い、交流する」。同市の出発式で平岡氏は強調した。同市には立憲民主党所属の市議や県議はいない。有権者との対話を重視するとともに街頭演説などで自民党の裏金問題をただし、政権批判票の受け皿になる考えだ。 一方の岸氏。同市が地盤だった自民党前職の後援会を事実上引き継ぎ、同市での出陣式にはその前職のかつての支援者が並んだ。それでも「まだ周知活動が足りない」と岸氏。「周南市を制する者が選挙戦を制する」と党参院議員は訴えた。
中国新聞社