【大阪杯】2000mなら先行できるスタニングローズが本命候補 対抗は自在性が武器のタスティエーラ
大阪杯は3角5番手以内が有利
2024年3月31日に行われる大阪杯は阪神開催12日目、A→Bコース使用2日目で行われる。レースが行われる阪神芝2000mはスタート直後にスタンド前の上り坂があるため、前半のペースが速くなりにくいのが特徴。このためG1昇格後の過去7年でかなりのハイペースになったのは、ゲリラ豪雨で一気に不良に近い重馬場まで悪化した2021年のみ。その一方、良馬場ながら前半5Fが60秒台以上のスローペースになったことが3回もある。 【大阪杯2024 推奨馬】勝率43.8%で単回率221%の黄金タッグ! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) このため過去7年では逃げ2勝、先行3勝、中団1勝、マクリ1勝。中団からの1勝は2022年のポタジェ。同馬はジャックドールが淡々と逃げる展開を前半は3列目の最内を追走していたが、3角では5番手まで上がって勝利している。このように、近7年では3角5番手以内の馬しか優勝しておらず、2着にも同ポジションからが4頭と、前の馬が有利となっている。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ローシャムパーク】 昨年に準OP、函館記念、オールカマーと3連勝した上がり馬。前々走のオールカマーでは13番枠からやや出遅れたが、ある程度促されて中団外目を追走。タイトルホルダーが淡々と逃げて向正面で隊列が縦長になっていく展開を外から強気に押し上げ、3角では好位の外。3~4角では中目を通し4角出口で外に誘導すると直線序盤で一気に2列目に並びかけ、ラスト1Fではタイトルホルダーを捉えて1馬身1/4差で完勝した。 前走の香港Cは推定前後半5F63秒13-後半5F58秒87(日本の計測方法だと前半が約1秒速い)とかなりのスローペースで内と前が有利な展開。大外枠から出遅れて後方2番手を追走。3角手前で仕掛けを待ち、最後方から4角出口では大外を回すロスもあって8着に敗れた。出遅れて前半の位置取りが悪くなったのは仕方がないにせよ、最後の直線で伸びあぐねたのは休養明けだった前々走オールカマーで自己最高指数となる好走をしたことによるものだろう。 今回は休養明け。先週の高松宮記念では昨年のスプリンターズSの覇者ママコチャが8着に敗れたように、ぶっつけ本番で万全の状態に持っていくのは難しいもの。また、ローシャムパークは出遅れ癖があって後方から追走する馬。外枠なら2018年優勝馬スワーヴリチャードのように捲って行くこともできるが、内枠だとレースの流れに乗れるかどうかという不安がある。 それでも国内で10戦して、馬券圏外に崩れたのはスタミナが不足しがちな休養明けかつ重馬場だった5走前のスピカSのみ。安定感がありここでは能力値1位。キャリアの浅さからもまだ伸びしろを見込める。内々を上手く立ち回って、包まれない競馬ができれば上位争いも可能だろう。 【能力値2位 ベラジオオペラ】 昨春のクラシックではタスティエーラやソールオリエンスに完敗だったが、その後の休養中に成長し、前々走のチャレンジCを優勝した馬。同レースでは5番枠からまずまずのスタートを切って、楽に前へ。外のテーオーシリウスを行かせて2列目の最内を確保すると、そこから意図的に位置を下げ1~2角では好位中目を追走。3~4角では包まれかけたが、勝ちに行ったガイアフォースの後ろを通して4角出口では同馬の外へ。直線序盤で追われるとすっと伸びて一気に先頭。ラスト1Fで最内を捌いて上がってきたボッケリーニとの叩き合いとなったが、それをハナ差で制した。 前走の京都記念は京都開催13日目でややタフな馬場。5番枠から五分のスタートを切り、中団中目のプラダリアを徹底マークする形で追走。直線序盤で同馬の内をしぶとく伸び、2列目まで上がる。ラスト1Fでの叩き合いでは最後に甘さを見せてしまいプラダリアと3/4差の2着となった。 プラダリアには完敗だったが、同馬は重馬場で行われた昨秋の京都大賞典を優勝しているように、時計の掛かる馬場を得意としている。3着以降に2馬身差をつけての2着なら悪くない。 ただ、ベラジオオペラは先行した皐月賞で10着に敗れ、その後に末脚を生かす競馬で浮上した馬。先行有利のこの舞台で積極的に位置を取りに行くと終いが甘くなる可能性が、逆に中団待機では前が残ってしまう可能性がある。それでも、キャリアはまだ7戦と浅く成長の余地があるだけに買ってはおきたい馬である。 【能力値3位 タスティエーラ】 昨年の皐月賞2着、日本ダービー1着、菊花賞2着とクラシックで活躍した馬。菊花賞は7番枠から五分のスタート。そこからコントロールして折り合い重視で中団やや前目の内を追走。1周目スタンド前ではやや外目を通したが、向正面でトップナイフらが外から捲ったことで包まれ動けずに位置が下がる。3~4角は中団外目で多少ロスもあったが、直線序盤では1頭だけ鋭く伸びて2列目まで上がる。ラスト1Fで先頭のドゥレッツァとは2馬身半差くらいだったが、そこからやや差を広げられ3馬身半差の2着だった。 前走の有馬記念では6着。13番枠からやや出遅れそこからかなり押して行くが、前半が速くてそこまで前に行けずに中団中目からの追走。スタンド前からはスルーセブンシーズをマークし折り合い重視で進めていたが、3角手前で外からヒートオンビートが捲り気味に上がったことでスルーセブンシーズとともに包まれてしまう。4角で外に出してそこから追い出されたが反応ひと息。直線序盤で外からジャスティンパレスに前に入られ、ブレーキをかけ後退。そこから再び追われるとさすがの伸びは見せたが、結果は6着完敗だった。 昨年のクラシック上位馬が古馬GⅠで通用していないことから、現4歳のレベルが疑問視されている。実際にレベルはあまり高くなかったが、あくまでもトップレベルと比較した場合のこと。そのトップたちがドバイ遠征で不在のここならば能力値は上位でチャンスは十分にある。 タスティエーラは昨年の日本ダービーでも、好位から早めに抜け出し大接戦を振り切る形の戴冠と、圧倒的な強さを見せてはいないが総合力が高く自在性が強みの馬。今回は芝2500m→芝2000mになるため序盤から前の位置を取るのは難しいと見ているが、道中で動いても容易にバテない強みがあるので対抗評価としたい。 【能力値4位 ステラヴェローチェ】 2歳時から活躍し、2021年のクラシックロードでは皐月賞3着、日本ダービー3着、神戸新聞杯1着など世代トップ級の能力を示してきた馬。菊花賞は休養明けかつ不良馬場の神戸新聞杯で自己最高指数を記録した反動で、勝ち馬タイトルボルダーから5馬身以上離された4着と敗退したが、その次走の有馬記念では古馬相手に4着と健闘した。 その有馬記念は9番枠から出遅れたが、そこから促して中団やや後方まで挽回。エフフォーリアを徹底マークで進めて、向正面では同馬の後ろにスペースを作って3角に入る。3~4角でエフフォーリアが進出するとその直後を狙って、4角の外から積極的に仕掛ける。直線序盤では4列目付近からじわじわ伸び、ラスト1Fでは3列目。最後はクロノジェネシスとの叩き合いになったが敗れ、3着の同馬から半馬身差の4着となった。 この有馬記念はパンサラッサがかなりのハイペースで逃げたことで、中団やや後方でレースを進めたステラヴェローチェは展開に恵まれた面がある。それでも4角大外から動いて3着クロノジェネシスに食らいついて行った内容は強く、ここで生涯最高指数を記録したエフフォーリアとも0.3秒差なので古馬重賞を勝って当然の実力はある。 ステラヴェローチェはその次の日経新春杯で2着に善戦、ドバイシーマクラシックで9着と敗れた後に屈腱炎を発症し1年7ヵ月の長期休養を挟んで昨秋の富士Sで復帰。そして前走の大阪城Sを勝利で飾り復調を見せた。 その前走は4番枠からまずまずのスタートを切って先行争いに加わり、その後控えて2列目最内を追走と先行策での勝利だった。本馬は2~3走前にマイル戦を使われていたこともあり、芝1800mの前走ではかなり楽に前の位置を取れていた。芝2000mで逃げ、先行馬が有利な大阪杯ではそれがアドバンテージとなる。展開に恵まれれば一発あるだろう。 【能力値5位 ミッキーゴージャス】 昨秋の夕月特別(2勝クラス)から3連勝で重賞の愛知杯を優勝した馬。その前走愛知杯では12番枠から五分のスタート。そこから内の馬の出方をうかがっていたが、内の馬が飛ばして行ったため無理なく中団やや後方の中目を追走。このレースは前半3F33秒5と速かったが4F目からペースダウンし、そこで好位の中目まで上がり3角では2列目の外。4角で勢いに乗せて先頭列で直線へ。序盤でややフラフラしながらもラスト1Fで先頭に立ち、外から追撃するタガノパッションを半馬身差で振り切って勝利した。 今年の愛知杯は1回小倉開幕日に行われた。標準的な馬場で前後半5F57秒4-60秒5の激流。ミッキーゴージャスは前半3F33秒5の区間で脚を温存し、ペースが緩んだ中盤で進出する形。勝ちに行く競馬はしているが展開が噛み合った面もあり、今回でさらに相手が強化されるとなると狙いにくい。 【能力値5位 プラダリア】 一昨年の青葉賞、昨年の京都大賞典、前走の京都記念と重賞3勝の実績馬。重馬場で行われた昨秋の京都大賞典では7番枠から五分のスタートでコントロールしながら楽に先行。外からハナを主張するアフリカンゴールドを行かせて2列目の最内、道中は同馬とのスペースを広げて3番手。3~4角で最短距離を通って、アフリカンゴールドと2馬身差で直線へ。序盤で同馬の外に誘導して追われるとじわじわ伸び始めた。内から上がったボッケリーニに接触される場面もあったが、ラスト1Fでアフリカンゴールドを捉え、最後は内のボッケリーニを制してクビ差で勝利した。タフな馬場が得意で、ここで自己最高指数を記録している。 前々走の有馬記念では出遅れを挽回し3番手の外を追走する競馬。そのことから先行馬が有利な京都記念では、前の位置が取れると見て当コラムでは本命候補とした。その前走京都記念では3番枠からまずまずのスタートを切ってコントロールし好位直後の内目を追走。道中は中団中目で我慢し、3~4角で馬場の良い外に誘導しながらじわっと好位に上がって直線へ。序盤で軽く仕掛けると2列目まで上がり、ラスト1Fで内から伸びるベラジオオペラを振り切って3/4馬身差で勝利した。 例年の京都記念と比較をすると馬場が悪化していたせいか想定よりも緩みなく流れたが、それでも3~4角に入ってもペースが上がらず先行馬有利な展開。またタフな馬場を得意としている本馬には好条件だった。今回は距離が短くなり、前走ほど良い位置を楽には取れないことや高速馬場想定であること、さらに相手強化を考えると狙いにくい。