冬の贈りもの、今季はだめかも…屋久島の名産ポンカン・タンカン、台風10号で大被害
台風10号の接近で全域が暴風域に入り線状降水帯も発生した屋久島町で、特産のポンカンやタンカンといった果樹被害が広がっている。落果だけでなく、枝折れや倒木もあちこちで見られる。果実の傷は収穫前になって判明するケースもあり、農家は「冬の贈答品として重宝されているが、今季はだめかもしれない」とため息を漏らした。 【写真】〈別カット〉根元から折れて倒れたポンカンの樹木=2日、屋久島町永田
2日午前、屋久島北部の永田集落では農家が果樹園の片付けに追われた。計屋好成さん(77)の畑では、青い実を付けた高さ2~3メートルのポンカンの若木が土から引っこ抜かれるように複数倒れていた。「これから埋め直すが、根がかなり傷ついているから回復するかは分からない」。農機具を収容する小屋も、近くの杉の大木が倒れて倒壊した。 町によると、8月28日午前から29日正午ごろまで約30時間、口永良部島を含む町全域が暴風域に入った。風速40メートル以上の暴風が吹き荒れたほか、1時間の解析雨量が120ミリ以上になったとして記録的短時間大雨情報も発表された。 2022年9月には台風14号で、今回と同じく果樹に大きな被害が出た。12月の収穫期になり傷ついた実が見つかり、商品化を見送るケースも相次いだ。当時の農作物被害額は650万円。ただ実際は、それ以上の被害が出たとされる。 2年前は風の影響が強かったが今回は大雨も重なり、樹木の傷み具合が大きいとの指摘もある。「雨で表土が削られて根が露出し、強風で揺さぶられて引きちぎられたような樹木が多い」と永田集落の斉藤義信さん(77)。果樹栽培を30年以上続けている中で初めての経験だったという。
屋久島南部も果樹栽培が盛んな地域。中間、湯泊両集落を中心に被害が確認されている。
南日本新聞 | 鹿児島
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