東京・北区のコミュニティーバスに乗って、B級グルメ「区役所カレー」を食べに行ったら絶品だった件
役所食堂の魅力
筆者(下関マグロ、フリーライター)は、役所の食堂が大好きだ。 初めて行ったのは予備校に通っていたときだった。地方の市役所の食堂が一般開放されていると知って、結構うれしかった。そして何より、値段の安さに引かれた。普段は一番安いカレーライスを食べていたが、お金があるときはカツ丼も食べたような記憶がある。 【画像】えっ…! これが北区役所の「ラーメン」です(計13枚) 上京してからは、区役所の食堂で食事をした。最初は住んでいる区の区役所の食堂だったが、散歩関連の原稿を書くためにあちこち歩くようになってからは、いろいろな区の区役所の食堂を訪ねた。 東京23区の区役所食堂はそれぞれ特色があり、食べるのが楽しくて、しばらくはいろいろな区役所の食堂を食べ歩いていた。 慣れない区の区役所に行くには、コミュニティーバスが便利だと気づいたのはつい最近のことだ。コミュニティーバスは、自治体などが地域住民のために運行するバスである。路線バスのように幹線道路を走るのではなく、住宅街の細い道を走るのが特徴だ。 地域住民のために運行されるため、区役所やその近くに停車することが多い。
Kバスの日常風景
今回、筆者は北区を選んだ。北区役所の食堂には、ユニークなカレーライスがあるらしい。まずは山手線に乗り込む。ちなみに、北区にはJRの駅が11駅もある。北区は東京23区で最もJRの駅が多いという。 JR京浜東北線の王子駅から北区役所までは歩いて5分ほどだが、今回はKバスに乗ろうと、山手線の田端駅で降りた。Kバスの「JR田端駅」停留所は北口から徒歩2分のところにある。停留所には「北区コミュニティーバス」とだけ書かれていて、Kバスの文字はない。桜の花びらがKのマークを形作っているイラストがあるだけだ。 筆者は「Kバス」という名前が好きなのだが、どうも浸透していないようだ。インターネットで検索してみると、三重県の北部に位置する桑名市が運行するコミュニティーバスが「K-バス」と呼ばれていることがわかった。 このバスは2001(平成13)年に運行を開始した。北区のコミュニティーバスが本格運行を開始したのが2010年だから、桑名市のバスが先行していることになる。ハイフン付きの「K-バス」が桑名市、ハイフンなしの「Kバス」が北区である。桑名市は「けーバス」、北区は「けいバス」と読む。 さて、JR田端駅停留所の時刻表を見ると、Kバスは1時間に3本ほど走っているようだ。ちょうど出発したところで、次のバスまでまだ時間があった。そこで、すぐ隣にある田端文士村記念館をのぞいてみることにした。入館料が無料なのがうれしい。田端は、大正から昭和初期にかけて多くの小説家や詩人の住んだ街だった。田端に住んでいた有名人には、芥川龍之介、萩原朔太郎、菊池寛、堀辰雄などがいる。 停留所に戻る時間になると、間もなくKバスが到着した。小型のノンステップバスで、よくあるタイプのコミュニティーバスだった。ノンステップバスは和製英語で、出入り口の段差が少ないバスを意味する。前のドアから乗り、後ろのドアから降りるスタイルのようだ。運賃は前払い。現金のほか、パスモやスイカなどの交通系ICカードも使える。筆者はパスモで乗車した。運賃は100円だ。