広島市の職員研修に教育勅語 現行憲法に反すると批判
広島市の新規採用職員研修で、松井一実市長が戦前の「教育勅語」の一部を研修資料に使っていたことが11日、市への取材で分かった。市長就任翌年の2012年から毎年使用していた。教育勅語は軍国主義教育の柱だった文書で、専門家は「現行憲法の理念に反し、不適切だ」と指摘した。 22年4月の新人研修で配布された資料は、全19ページのうち「生きていく上での心の持ち方」と題した6ページ目で「先輩が作り上げたもので良いものはしっかりと受け止め、後輩につなぐことが重要」とし、教育勅語を使用。「爾臣民、兄弟に、友に」と博愛や修学、公益を説く部分を英訳付きで掲載した。松井氏は職員への講話でこの資料を使った。23年も同じ部分を引用したという。 松井氏は使用の意図について「教育勅語そのものを再評価すべきとは考えていないが、評価してもよい部分があったという事実を知ることは大切だ」とコメント。また「全体を画一的に捉えて判断するのではなく、中身をよく見て多面的に捉えることが重要」とし、今後も使用を続ける考えを示した。