村上宗隆、開幕13戦54打席目に1号 8年前の熊本地震思い出し「感謝の気持ち」
◆JERA セ・リーグ DeNA0―9ヤクルト(14日・横浜) 横浜の空高く、かっ飛ばした。ヤクルト・村上宗隆内野手(24)が待望の今季1号を放った。自己ワーストとなる開幕13戦、54打席目で快音が響き渡ると、白球は大きな弧を描いてバックスクリーン左へ。一塁を回ったところで右手をグッと握った。「しっかり芯で捉えられて角度もよかったので、行ったかなと思いました」。2戦連続の2番先発。0―0の初回1死、大貫の直球を完璧に捉えた。打球速度は約177キロで角度は26度。「ちゃんとしたホームラン」と自賛する先制V弾だった。 「4・14」は8年たった今も忘れない熊本地震の最初の激震「前震」があった日だ。当時は九州学院高2年。「野球ができなかった時の感情は思い出します」と記憶は鮮明に残る。「野球ができる喜びとファンの皆さんへの感謝の気持ち」を表現しようと、二塁を回ったところで左翼席のファンに手を挙げて応えた。 入団2年目の19年から県のシンボルでもある熊本城復旧のために支援活動を行ってきた。「できることはやりたい」との思いから、20年から本塁打、打点を挙げるごとに一定額を寄付。毎年、熊本市から寄付金の使い道の知らせが届くたびに、アーチを描き続ける意義を実感する。今年1月の能登半島地震の際も寄付金を贈るなど、被災地に寄り添い続けている。 「常に打ちたいと思っていますけど、今日という日は今日しかない。熊本地震だけじゃなく、いろんなところで地震もありましたし、被災された方にスポーツの力を届けられたらなと思います」。特別な日に見せた背中は、ひときわ輝いていた。(長井 毅)
報知新聞社