どこかの球団と真逆?!今永昇太の決断の裏にメジャー挑戦をプッシュし続けた横浜DeNAの球団理念
横浜DeNAの今永昇太投手(30)が13日、横浜スタジアム内で記者会見に臨み、かねてから憧れてきたMLBへ、ポスティングシステムを利用して挑戦する意向を正式に表明した。11日に横浜DeNAから発表されていた移籍容認に関して、今永は「僕からではなく、球団側から自分の背中を押していただいた」と明言。理解を示してくれた球団へ感謝し、全30球団OKの姿勢を見せながら、NPBでは未対戦だった大谷翔平(29)をはじめとする猛者との対決へ早くも胸を躍らせている。 【画像】「ノーバンに見えた!」…乃木坂46の向井葉月さんが西武戦の始球式で感涙した理由
2017年の侍ジャパン体験から芽生えたメジャー挑戦の夢
MLB挑戦を正式に表明する記者会見が始まって10分近くがたった段階で、今永はハッと我に返った。真っ先に伝えるべき言葉を、完全に言い忘れていたからだ。 横浜DeNAの、そして日本プロ野球のファンへあらためて何を伝えたいのか。こう問われていたはずの今永は、唐突に「冒頭で申し上げるのをちょっと忘れていたんですけど……」と恐縮した口調で切り出し、質問されてもいない答えを言葉に変換し始めた。 「今回のポスティングを快く承認してくださった、横浜DeNAベイスターズの萩原チーム統括本部長並びに球団スタッフの方々、本当にありがとうございます。そして、いいときも悪いときもいろいろな声援をファンの方々からいただいてきたので、これからもそういった声援をいただけるに値する選手であり続けたいと思っています」 編成のトップを務める萩原龍大チーム統括本部長(46)に、今永が感謝を伝えたのには深い理由があった。ポスティングシステム制度の行使は、原則として球団側が主導権を握る。一方で選手の権利である海外FA権を、今永が取得するのは早くて2025年。それより2年も早く、しかも横浜DeNA側が主導する形でエースの移籍を容認したからだ。 今永のなかでMLBへの憧憬の思いが芽生えたのは、駒澤大からドラフト1位で横浜DeNAへ入団して2年目、2017シーズンのオフだった。 「2017年から日本代表に呼ばれて、国際大会の楽しさやしんどさといったものを経験していくにつれて、アメリカの野球とはどのようなものなのか、といった思いがだんだん出てきました。その年のアジアチャンピオンシップからプレミア12などいろいろな大会を経て、身近な選手たちがMLBに挑戦していくのを見て、自分もいつかそういう選手になれたらいいな、と」 当初の憧れから変化したMLBへ挑戦したいという思いを、契約更改の席で球団側へ伝えてきた。最初は自己最多の13勝をあげた2019シーズンのオフだったと今永は記憶している。2021シーズン後の契約更改では、当時の三原一晃球団代表から「アメリカに興味があるのか」と問いかけられた今永が、正直に「あります」と答えるひと幕もあったという。 球団側とのやり取りを、今永はこう振り返っている。 「オフの契約更改のたびに、僕からではなくて球団側から『夢はどうなった』と質問されるなど、自分の背中を後押ししていただいた。そういった話し合いでした」 迎えた今シーズン。今永を刺激する数々の経験があった。 まずは侍ジャパンが3大会、実に14年ぶりに世界一を奪回した3月のWBC。米マイアミのローンデポ・パークで行われたアメリカ代表との決勝戦で、先発の大役を務めた今永は2回を4安打1失点に抑えて勝利投手になった。今永が振り返る。 「あの経験が自分の背中を押したわけではないけれども、球場の雰囲気に飲まれそうになった瞬間があったなかで、それでも野球を楽しもう、という気持ちが生まれました。そういった経験が、いまに生きているのかなと思っています」
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