大地震があった地域への移住に迷い…“仲間との出会い” を経て断言『後悔はない』 農業ボランティアが変えた男性の人生 熊本・益城町
熊本放送
熊本地震から8年、当時のボランティアをきっかけに人生が大きく変わった男性を取材しました。 【写真を見る】大地震があった地域への移住に迷い…“仲間との出会い” を経て断言『後悔はない』 農業ボランティアが変えた男性の人生 熊本・益城町 ■静岡から熊本・西原村へ移住 去年(2023年)6月。復旧工事が終盤に差し掛かっていた阿蘇神社の楼門の前で結婚式の記念撮影が行われていました。 小出真也さん「まだまだ復興の最中ですが、今後の熊本をもっと目に焼き付けて妻と共に生活していきたい」 こう話すのは、静岡県出身の小出真也(こいで まさや)さん 48歳。8年前、災害ボランティアの一員として熊本県にやってきました。 小出さん「タネイモっていうのを植えるんです。秋ごろにまた食べられるようになります」 現在は、妻・美紗子(みさこ)さんと2人で熊本県の西原村(にしはらむら)で使われなくなった畑を借り、農業を営んでいます。
小出さん「熊本地震の痕跡も見られないぐらい だいぶ綺麗になってきているんですけど、当初は畑の近くの道も通れなかった」 ■『農業ボランティア』との出会いが人生の転機に 2016年に起きた熊本地震。西原村は4月14日に震度6弱、16日には震度7を観測しました。人口およそ7000人が暮らす村の半数以上の家屋が全半壊。主要な道路も大きく寸断されました。 地震発生からおよそ1か月後。東日本大震災でボランティア活動の経験があった小出さんは勤めていた会社を休み「何か支援をしたい」と熊本に入りました。 小出さん「すごく雨が続いた日があった。せっかく来たのに何もできないのは…と思っていたところで西原村の農業ボランティアを知って」 「雨の日は納屋の中で作業を手伝えるということで農業ボランティアに参加したのがきっかけでした」 この時が初めての農業ボランティア。当時、食品会社のサラリーマンをしていた小出さんにとっては『大きな転機』になりました。 小出さん「手伝いに行って食べさせてもらったサツマイモがすごく美味しくて。自分で作れたらいいなって思ったのも農業を始めるきっかけの一つです」 その後仕事を辞め、ボランティア活動に専念。2017年、小出さんは西原村への移住を決めました。 小出さん「地震があった地域ということで結構悩んだというか、地震が心に引っかかっていた」 『大きな地震が起きた熊本』で暮らすことへのためらいを払拭したのは、仲間たちとの出会いでした。 ■農家5年目、まだまだ勉強中 小出さんが訪ねたのは、サツマイモを育てて50年になる農家・松岡寛泰さんのもとでした。頼りにしている先輩農家の一人です。 小出さん「茎が伸びているのから切っていいんですか?」 松岡さん「そうそう。植えて7節くらいで芯の育ちを止める」 小出さん「え?そうなんですか?」 農家5年目の小出さんも、まだまだ学ぶことばかりです。 松岡さん「ボランティアで来ているのにできるとや(=できるの)?って最初言ったんです。そしたら『新規就農でしますから』というけん。根性すわっているなと思った」