再就職しました。在職老齢年金の「50万円基準」は知っているのですが、実際にカットされるのは何月分の年金ですか? (2)
老齢厚生年金を受けられる人が厚生年金被保険者になっていると、在職老齢年金の対象になり、50万円基準(2024年度)を超えていなければ年金は全額支給され、超えていれば超えた分の2分の1の年金(報酬比例部分)がカットされることとされます。 月ごとに支給停止額が計算されますが、1回目では、厚生年金に加入した月の翌月分から在職老齢年金の対象となることを取り上げました。 在職していて、在職老齢年金の対象となっている人もいずれ退職することにもなるでしょう。2回目は、退職にあたって、「いつまで在職老齢年金の対象になるか」について取り上げます。
月末退職の場合は翌月から停止がなくなる
退職日が月末の場合もあれば、月の途中の場合もあることでしょう。厚生年金の被保険者となっていて在職老齢年金の対象となっていた人が月末に退職した場合は、退職月については当然のことながら在職老齢年金の対象となります。 退職月は、前回述べた、前月から引き続いて厚生年金の被保険者となっている月に該当するためです。退職し、そのままさらに再就職しなかった場合、つまり、厚生年金の被保険者にならなかった場合は、退職月の翌月から在職老齢年金の対象でなくなります。
【図表1】のように5月31日に退職した場合であれば、5月分は在職老齢年金の対象で、50万円基準によって年金が支給停止されることがありますが、翌6月分からは在職老齢年金の対象になりません。
月の途中で退職している場合も同様
一方、月の途中で退職した場合も、退職したその月は在職老齢年金の対象になります。月末退職と同様に、前月から引き続いて厚生年金の被保険者になっていることが理由です。 先述の5月31日ではなく、5月15日に退職した場合、前月(4月)から厚生年金被保険者であることにより5月分は在職老齢年金の対象となり、50万円の基準額を超えていると5月分の年金は支給停止となります(【図表2】)。 そして、【図表1】の場合と同様、翌6月分から在職老齢年金の対象でなくなります。
月の途中で退職した場合、退職月については厚生年金被保険者期間とは計算されないことから、月末に退職した場合と異なり、退職月の厚生年金保険料は発生しません。 しかし、在職老齢年金の対象にはなり、5月の途中で退職した場合の5月分の在職老齢年金は4月分の標準報酬月額を用いて計算することにもなります。 「いつまで在職老齢年金の対象になるか」について見た場合、退職日に関係なく、退職したその月までが対象となることを押さえておきたいところです。 執筆者:井内義典 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部