財産チェックリストで親のお金を把握しよう。
親が認知症になる前に、考えてみたい任意後見制度。
親が認知症になったときに、銀行口座からお金をおろしたり、いざというときは自宅を売りたいという場合は、認知症になる前に親と子どもで「任意後見契約」を結んでおくとよいだろう。 「親は財産を全部取られると勘違いするので、認知症になったときに財産を動かすための手続きだと説明を」 金融機関によっては、「代理人制度」を導入しているところがある。事前に申し込んでおくと、認知症になる前でも本人が病気や施設入居などで窓口に来られないときは、代理人がお金を引き出すことができる。 もし、本人の口座からお金が引き出せない場合は、誰かが立て替えておかなければならない。立て替えた記録は必ず残しておいて、親に請求しよう。「もし、そのまま亡くなってしまったら、立て替えた分は相続のときにしっかり主張しましょう」 【任意後見制度】 本人の判断能力があるうちに、自分自身で任意後見人となる人やその人に委任する事務内容を決め契約しておく制度。この契約は、公証人が作成する公正証書により締結する必要がある。本人の判断能力が不充分になったあとに、家庭裁判所に申し立て、任意後見監督人が選出されたら任意後見人契約が発効する。 【金融機関の代理人制度】 預金者本人が事前に申し込みをしておき、自分が窓口やATMに来店できなくなったときに、代理人が手続きできる制度。代理人になれる条件は金融機関による。指名された代理人は、通帳・届出印・代理人の本人確認書類を持参して、窓口で出金等の手続きができる。認知症などに備える方法として有効。
\覚えておきたい!/ 相続の法律が変わりました。
相続登記されていない所有者がわからない土地が多いことで、公共事業や災害の復興がスムーズに進まないことが問題になっている。そこで、2023年4月から「相続土地国庫帰属制度」がスタートした。 「更地にしなくてはならないし、崖地はダメ、10年分の土地管理費相当額の負担金を払うなどの条件はありますが、個人所有の土地を国が引き取ってくれるようになったのは大きな変化です」 2024年4月からは、これまで任意とされていた相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得した相続人は、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなる。 また、2023年4月から、遺産分割でもめ続けている場合、相続開始から10年経ったら法定相続分で分割できるようになった。さらに、「相続人の中の1人と連絡が取れない場合などに、その人の持ち分の金銭を供託することで、不動産を売却できる改正も行われました」(山田さん)。