『ブギウギ』ライバルで友人で同志なスズ子とりつ子 氾濫するゴシップ報道への警鐘も
子育てに奮闘するスズ子(趣里)に“強力な援軍”登場
りつ子の表現者としての矜持、権力に立ち向かう強さ、慈愛に満ちた眼差しは唯一無二で、多面的な魅力を菊地凛子は体現してきた。ツヤ(水川あさみ)、USKの大和(蒼井優)や橘(翼和希)をはじめ印象的な女性キャストの多い『ブギウギ』だが、さまざまなエッセンスがりつ子に凝縮されていると感じる。 りつ子は「誰か助けてくれる人はいないの」とスズ子を案じる。「女が一人で仕事も子育てもなんて生半可じゃ務まらない」「連れ回しても面倒みられないんじゃ意味がない」という忠告はスズ子を思ってのこと。愛子を懸命にあやすスズ子を見て、りつ子はなんとかしなければと思ったはずだ。その思いは一つの行動を生んだ。 木野花演じる大野晶子は期待を裏切らない。登場した瞬間、人間味が画面からあふれ出した。ドラマに出てくる家政婦はなぜキャラが濃いのかという疑問はさておき、青森出身の木野を青森出身のりつ子の旧知の家政婦としてキャスティングした制作陣に拍手を送りたい。母娘二人の生活に晶子はどんな彩りを添えるだろうか。
石河コウヘイ