<センバツ・夢へ続け!>柴田・支える人たち 「心技体」の充実を 潜在能力引き出すトレーナー /宮城
初のセンバツ出場に向けて選手を鍛えているのが日下行(くさか・こう)トレーナー(49)だ。15年以上にわたり県内外の高校の運動部でトレーニングを指導してきた。1986年創部の柴田野球部2期生。主将を務めた当時のチームは、33年前の秋季東北大会で4強に入った。 日下さんは昨年の同大会2回戦、八戸学院光星(青森)戦を球場で観戦。甲子園常連校の相手と比べ、柴田ナインの体格が小さいのに驚いた。だが、後輩たちは強豪校を次々と破って準優勝し、日下さんの代を超えた。「この体つきで勝てるチームはなかなかいない。能力が高いんだな」と目を見張った。 同じOBの選手の父親から誘われ、大会後の10月下旬からトレーニングを月2回担当。選手の高い潜在能力を生かすため、身体面の強化を買って出た。ウエートトレーニングはあえて回数を決めず、選手たちは苦しい表情を浮かべながらも必死にこなす。限界まで繰り返すことで、メンタル面の強化も促す。一方、食事法やプロ選手の体づくりなどの講話の時間も設け、3時間のトレーニングの中で知識も伝授する。 日下さんの指導によって、ナインは心技体の充実を実感している。「メンタル面まで、すんごい変わりました」と驚くのは5番打者の村上(2年)だ。体重は秋の70キロから7キロ増え、鋭い打球が飛ぶようになった。主将の遠藤(同)も「フリー打撃で監督から『打球の質が変わった』と言われた」と語る。 「すぐにはレベルアップできない」と、日下さんはトレーニングを継続することの大切さを訴える。厳しい特訓も、OBの夢をかなえた選手たちへの期待があってこそ。「甲子園で一つでも勝ち上がってほしい」とエールを送る。【面川美栄】