熊本市中心街に整備の分煙施設、浸透いまひとつ 市が4カ所、2500万円投入 喫煙者「知らない」「屋外で吸いたい」
熊本市は、人通りが多い中心市街地の分煙対策として、3月末までに民間の施設や敷地内に誰でも利用できる分煙施設4カ所を整備した。民間事業者に市が費用を助成する形で計2500万円余りを投じたが、喫煙者にも「知らない」「屋外で吸いたい」などの声があり、浸透はいまひとつ。効果は限定的と言えそうだ。 分煙施設は今年3月、「パークシティ24h」(中央区水道町)と「熊本屋台村」(城東町)に完成。昨年4月完成の「HAB@(ハブアット)熊本」(下通)、同11月の「YASUDA BLDG」のインドアゴルフ練習場(新市街、加熱式たばこ専用施設)と合わせ、計4カ所となった。分煙施設の場所代と維持管理は事業者が負担する。 市生活安全課は事業者への聞き取りを基に、「それぞれの施設の利用者以外にも、一定数の人が使っている」とする。このほか、下通や新市街アーケードのパチンコ店など分煙の協力店舗もあり、市はホームページで分煙施設と協力店舗の地図をPRし、市公式ラインやX(旧ツイッター)などでも周知した。
中心市街地での禁煙を巡っては、市は2007年、上通、下通、新市街のアーケードを条例に基づく「路上禁煙区域」に指定。安全安心パトロール指導員による巡回を実施してきた。 さらに、改正健康増進法が求める「望まない受動喫煙」を防ぐため、中心市街地に最大7カ所あった公設灰皿を段階的に減らし、22年にすべて撤去。分煙施設の新設は、喫煙スペースの減少で懸念されるマナー悪化の対応策として動き出した経緯がある。 ただ、条例で路上禁煙区域に指定されているのは現在もアーケードのみで、その周辺部分は規制の対象外。今回整備された分煙施設も、利用できない時間があるなど課題もある。 禁煙区域外にある下通アーケード近くの蓮政寺公園(安政町)では、地域住民による愛護会が設置した灰皿が置かれ、多くの喫煙者が利用している。毎日訪れるという男性(50)は、「分煙施設の存在は知っているが、狭そうだし、気分的にも屋外がいい。屋外に広い公的喫煙所があると分煙が進むと思う」と話す。