筋肉増やす「アナボリックステロイド」が蔓延…現役ユーザー「個人の使用“悪”ではない。人生の質上がった」 医師「使い方を間違えると命に関わる」
「一つだけ意見として言わせて欲しいのは、アナボリックステロイドによって、人生の質が上がったり、何かを達成している人は少なくありません。自己肯定感があがったり、過去の自分を打ち破ったり....ルールを破らなければ、個人で使用する事は悪ではないと考えています」 こうした中、アナボリックステロイドの安易な使用に警鐘を鳴らすのが、神奈川県川崎市で「筋肉増強外来」を開いているさぎぬま泌尿器科・美容クリニックの野口尊弘院長だ。 「外用薬・内服薬・注射などがあるが当院では注射のみだ。基本的には今まで筋トレを習慣的にやっているものの、加齢と共に筋肉がつきにくくなったとか、衰えを感じてなんとか現状を改善したいと考えている方に対して実施している」
野口院長によると、最近インターネットを使い、個人でアナボリックステロイドを輸入する人もいるという。 自身も使用経験があるという野口院長。腕周りが大きくなるなど、効果はあったと振り返る一方、口にしたのは、誤った使い方による、副作用のリスクだ。 「それぞれ副作用の出方にも多少差はあるが、主には肝臓の障害、高血圧、赤血球が多くなる多血症、さらには精子の質が下がるなど多くの副作用がある。使い方を間違えると、命にさえ関わる薬だ」 過去にはアナボリックステロイドの使用による健康被害が相次いでいるとして、厚生労働省が利用実態の調査に乗り出したことも。 個人輸入した医薬品の場合、日本で正規に流通される医薬品と違い、深刻な健康被害を起こしたとしても、国の救済を受けることができない。 厚生労働省は、購入前に医師や薬剤師と相談するなど必要性を十分に検討してほしいと注意を呼び掛けている。 野口院長は、アナボリックステロイドを使う場合は医師の指導の下、副作用のリスクを極力管理することが必要という思いから「筋肉増強外来」を設置。今も、月に5人ほどの人が利用しているという。 「うちの中で『これ以上は使わない』という量があり、それだと3カ月+ケアの期間を含めて大体20万円台だ。当院ではそういったスポーツをやられてる方に対しては『ドーピングに引っかかるので』と断っている」 野口院長は、アナボリックステロイドの使用は自己責任とした上で「やはり人間は欲が出てくる。少し筋肉がついたら、もっとつけたくなって歯止めがきかなくなる。アナボリックステロイドは危険な薬なので、筋肉増強外来などできちんと血液検査や状況を確認してもらいながら、慎重に行うべきだ」と述べた。 (『ABEMAヒルズ』より)