モスクワで“ドローン攻撃”相次ぐ…爆発の瞬間がカメラに ウクライナの攻撃? ロシア本土に揺さぶりか
ロシア・モスクワで30日未明、日本企業がオフィスを構え、観光客も大勢訪れる場所にドローンが墜落しました。モスクワを狙ったドローン攻撃は、今月に入って4回目です。ウクライナ側は公式に攻撃を認めていないものの、ゼレンスキー大統領はロシア領土内への攻撃を示唆。専門家は「一段ステージが上がった」と見解を示しています。 ◇ ロシア・モスクワで30日、高層ビルが立ち並ぶ一角で突如、大きな爆発音が鳴り響く様子をカメラがとらえました。 「こんなとこいやだ!」 30日未明、ロシアの首都モスクワを襲った3機のドローン攻撃。ロシア国防省は「1機を撃墜し、2機は妨害電波により墜落させた」と発表しました。 その2機が墜落したのが、ロシア大統領府がある「クレムリン」から、わずか5キロの場所にあるオフィス街でした。日本企業がオフィスを構え、観光客も大勢訪れる場所です。 ロシアメディアによると、被害を受けた建物の1つには、ロシア政府の3つの省庁が入っていたということです。ケガ人はいなかったものの、2機が落ちた付近のビルは大きく破損し、窓ガラスの破片が散乱していました。 「これは間違っています。この攻撃は何の意味もない。ただの挑発行為にすぎません」 「悲しく不愉快ですね、再び起きないといいですが」 ロシア国防省は「キーウ政権によるテロ攻撃」と非難しています。 ◇ 実は、モスクワを狙ったドローン攻撃は今月に入って4回目です。 今月4日に新モスクワ地区などにドローン5機が飛来し、24日には国防省近くで撃墜。28日にも迎撃されていた中、30日も攻撃があり、先週1週間だけで、モスクワでは3度もドローン攻撃が確認されているのです。 こうした状況について、専門家に話を聞きました。 ロシア政治に詳しい慶応義塾大学・廣瀬陽子教授 「当然、モスクワ中心の市民は戦争を他人事(ひとごと)と考えていた人も多かった中で、自分の身に何か危険が降りかかりつつあると、そういう危機感も増えている」 これらのドローン攻撃について、ロシア側はいずれも「ウクライナ軍による攻撃」と主張しています。 一方、ウクライナ側は、公式には攻撃を認めていないものの、ゼレンスキー大統領はロシア領土内への攻撃を示唆しているといいます。 ウクライナ・ゼレンスキー大統領(30日投稿 大統領のSNSより) 「戦争は徐々にロシアの領土、具体的にロシアの象徴的な中心地および軍事基地に戻りつつある。これは避けられない自然な、そして完全に公正なプロセスである」 慶応義塾大学・廣瀬陽子教授 「これは明らかに一段ステージが上がったといいますか、ウクライナ公認で攻撃も行うというような意図を表明したと思いますし、実際にそれが進んでいるというふうに思われます」 なぜ、ウクライナがモスクワに攻撃を仕掛けるのか―― 慶応義塾大学・廣瀬陽子教授 「今、ロシアは先月、プリゴジンの乱などあり国内がぐらついている状況。国民に揺さぶりをかけるようなことをすれば、よりロシアが自壊していく可能性というのが1つあるかと思います」 反転攻勢が思うように進まないウクライナ。「新たな一手」としてロシア本土に揺さぶりをかけています。