【令和の成人式の変遷】 “成人式”発祥の地・埼玉県蕨市では参加率が上昇傾向…新成人たちの関心があるニュース第1位とは?
成人式”の出席率は、近年上昇している? 傾向に?
次に、ここ数年で「二十歳の集い(旧成人式)」の出席率はどのように変化してきたのだろうか。 まず、ゼネラルリサーチが2019年に20~50代の男女1507人を対象に行った「成人式に関する意識調査」では、「成人式に出席した」という回答は全体の「63%」を占めたとされている。またこのデータを当時の20代に限定した場合、その比率は「74.8%」に上り、30~50代よりも高い参加率になっていることがわかる。 一方で直近1~2年のデータを見ると、たとえば2022年1月7日にLINEが発表した報告によると、LINEアンケートモニターの中で1万744名を対象にした調査として、2022年の成人式の参加予定率が「55%」だったと記されている。 さらにOurPhotoが2023年12月に行ったインターネット調査「成人式最新実態調査2023」(対象者416名)によると、「成人式を迎えるにあたって実施したイベント」において「地元の式典への参加」と回答した新成人は「50%」に留まったとされている。 もちろん、それぞれ別個の調査であり、リサーチ手法による差も影響している可能性は大いにあるので、具体的な増減の幅を追うことは意味がないだろう。一方で、コロナ禍で一度参加意欲が減退し、その後2022年から出席意欲が回復したという傾向はあっても不思議ではない。 そこで、特定の自治体に焦点を当て、ここ数年での参加率の変化を確認してみよう。せっかくなので、成人式発祥の地・埼玉県蕨(わらび)市に聞いてみた。
成人式発祥の地・蕨市「参加率は上昇傾向」
“成人式”の発祥は、終戦の翌年である1946年(昭和21年)に現在の埼玉県蕨市にて開催された「青年祭」において、その幕開けとして行われた「成年式(せいねんしき)」だとされている。 全国に先駆けて行われたこの催しに対し、国や他県が関心を集め、1948年(昭和23年)に国民の祝日として「成人の日」が制定。以降、全国各地で新成人を祝う式典が行われるようになったそうだ。なお、蕨市では現在においても「成年式」の名称がそのまま使われている。 蕨市教育委員会の担当者に昨今の式典参加率について聞いてみると、「2020年の第74回は52.7%、2021年の第75回は41.0%(コロナ禍のため10月開催)、2022年の第76回は62.7%、2023年の第77回は66.7%と、近年の参加率は上昇傾向にあります」と回答。なお、2024年1月8日に開催された第78回は参加者395名(対象者660名)で出席率59.8%となったものの、地元の新成人が集まり大きな賑わいを見せていた。 そもそも、2021年にはコロナ禍の影響で成人式が取りやめになった地域もあった。2022年以降の出席率が伸びた背景としては、こうしたコロナ禍で抑圧された環境が緩和されたことに加え、成人年齢引き下げというトピックが間近に迫ったことによる話題性の上昇などがあったのかもしれない。 最後に式典に参加した蕨市の新成人に話を聞いてみると、「コロナ禍で学生生活に制限があったので、こうして皆で参加できてうれしい」「自立したつもりでいたけど、親が着付けを手伝ってくれて、改めて感謝の気持ちが湧いた」「蕨市は成年式発祥の地なので、ずっと参加したいと思っていた」といった声をはじめ、「久しぶりに地元の友だちと集まれてうれしい」「最初は迷ったけど、友人が行くと言ったので参加した」と、旧友との再会を喜ぶ声が多く聞こえてきた。 文/井上晃