「年収の壁」引き上げで熊本市は170億円の税収減に 基礎控除アップで市が試算 大西市長「労働力確保ではプラス面も」
熊本市の大西一史市長は8日の定例記者会見で、国民民主党が掲げる「年収の壁」の103万円から178万円への引き上げを巡り、仮に個人住民税の基礎控除を同様に引き上げた場合、約170億円の税収減になると説明した。 ただ、引き上げは「労働力の確保という面ではプラスになる」とも強調。引き上げの影響を国会で丁寧に議論するよう求めた。 年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」は、パート従業員らが手取りの減少を意識して働く時間を抑え、人手不足の一因と指摘されている。国民民主党は「手取りを増やす」として、衆院選の公約に178万円への引き上げを盛り込んだ。 熊本市の2023年度の個人住民税の決算額は約540億円。個人住民税の基礎控除を75万円引き上げたケースを試算すると、決算額の約3割に当たる約170億円の減収になる。市財政課は「あくまで単純計算した額。国による交付税措置も考慮すると、引き上げの影響は正確には分からない」としている。
大西市長は試算結果について「非常に大きな額」と指摘。「働きやすい環境をつくることは望ましいが、どこかにしわ寄せがいく。地方への影響は最小限にしてほしい」と強調した。(臼杵大介)