「みんながっくり…」 リンゴの実が裂ける「胴割れ」被害相次ぐ 秋の大雨が影響か「異常気象続くと何をすればいいのか…」農家苦悩
長野県の主力品種「ふじ」、秋の雨で実が肥大か
長野県のお歳暮としておなじみのリンゴの主力品種「ふじ」で、実が横方向に裂ける「胴割れ」が県内各地で発生している。県農政部によると、今夏の記録的な猛暑で日焼けが起きた上に、10~11月の雨で急激な果実の肥大が生じ、裂傷につながったとみられる。今年は、凍霜害に見舞われた昨年からの巻き返しを―と産地の期待が高かっただけに、農家からは落胆の声が聞かれる。 【写真】胴割れによってできたリンゴの裂傷。横に大きな傷が2カ所ある
夏の高温で生じた日焼けも影響か
同部によると、ふじの胴割れはこれまでにも発生したことがあったものの、今年は事例が多く、割け方も大きいのが特徴。夏の高温で日焼けが生じて実の表面が荒れたところに、秋の大雨などによって実が急激に縦方向に大きくなり、裂傷が生じたとみられるという。
ジュース用にしか売れず収入源に…
味に影響はないものの、裂傷が大きいと通常出荷はできず、ジュース用などに回す必要が生じて農家の収入減につながる。同部は「今後、原因をしっかり分析した上で、再発防止に向けた技術対策を整理し、JA(農協)と連携して生産者に周知する」としている。
着色不良やカメムシ被害も
今年の県産リンゴを巡っては、酷暑により夜に気温が下がらなかったことで寒暖差が小さく、赤く色づかない「着色不良」が各地で発生。カメムシが果実の汁を吸う被害も出ている。 リンゴを軸に生産する長野市篠ノ井岡田の共和園芸農協では昨年、凍霜害に加え、組合員の高齢化による園地縮小などが影響し、出荷量は前年比で2割ほど低下。1948(昭和23)年の組合設立以降、過去最少の水準だった。今年は胴割れやカメムシの被害などで、出荷量は昨年並みかそれ以下になる見通しという。
「だんだん作りづらくなってきた」
渡辺一成組合長(76)は主力のふじについて「今年は特に胴割れが多発している」と説明。「春先には(凍霜害があった)『昨年から挽回するぞ』とみんな思っていた。ここへ来てこんな状況なので、がっくりと気落ちしている」と話す。 対策も見いだしづらく、「だんだんリンゴが作りづらくなってきた。この先も温暖化による異常気象が続くと思うと、何をすればいいのか悩ましい」とした。