「独りぼっちになっちゃった」と話した長女…遺族が意見陳述 袴田再審公判が結審へ
昭和41年、静岡県でみそ製造会社の専務ら一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第15回公判が22日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、検察官が「真実を明らかにしていただきたい」とする遺族の意見陳述書面を代読した。 事件では、専務、妻、次女、長男が亡くなっている。意見陳述の書面を提出したのは、事件当時、親類宅にいて無事だった長女の遺族。 遺族は「この事件で尊い4人の命が奪われたことをどうか忘れないでほしい」と指摘した。観光バスで東京見学をしたり、船で釣りを楽しむなどしていたという専務一家。事件後、長女は「さみしい。独りぼっちになっちゃった」と話していたという。 長女はテレビも見ない生活で、遺族は袴田さんの再審請求についても「全く理解していなかったと思う」と書面で振り返った。 「長生きしたい」とも話していたという長女は、静岡地裁が平成26年3月に再審開始を認め、袴田さんが釈放される直前に、病気で亡くなったという。 事件で生き残った長女を犯人視するようなインターネットの書き込みが多数あるといい、遺族は「一度に家族4人をなくした悲しみと恐怖が分かるでしょうか」と訴えた。 公判は論告・求刑と最終弁論を経て、この日で結審する見通し。