FRB、米利下げ時期が近づいていると示唆か-来週のFOMC会合
(ブルームバーグ): パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局が昨年7月に主要政策金利を二十数年ぶりの高水準に引き上げて約8カ月が経過し、当局はインフレ退治のための引き締めの巻き戻しに近づいている。
パウエル議長は先週の議会証言で、利下げの前にインフレ率が2%の当局目標に向かっているとの「証拠がもう少しだけ」必要だと強調。「われわれはそこから遠くない」との判断を示した。
パウエルFRB議長、利下げ開始は「遠くない」時点に確信へ
金融当局は今月19、20両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、5会合連続の金利据え置きを決めると広く予想されている。雇用やインフレの新たな統計が変化をもたらしたかどうかを含め、投資家の関心の大きな部分はFOMC参加者による四半期ごとの金利見通しだ。
当局者が2024年に中央値で計3回の利下げを見込んでいることが示されれば、投資家が予想するように、6月利下げの可能性の環境が整うことになると考えられる。
元FRB金融政策局長で現在はドレイファス・アンド・メロンのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は、「われわれは正しい方向にある」というのが今月のFOMC会合のメッセージとなるだろうと指摘し、「当局者は適度な確信を抱くのにそれほど遠くない」との見方を示した。
当局者は1月30、31両日のFOMC会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%に据え置くことを全員一致で決めた。一方で、パウエル議長ら当局者は3月利下げの可能性はないと表明している。
米金融当局が景気判断に時間をかける余裕がある理由の一つには、経済が底堅い成長を続け、労働市場が引き続き健全な数の雇用を生み出している点が挙げられる。2月の非農業部門雇用者数は前月比27万5000人増と予想を上回る伸びとなった。
2月の雇用統計では、平均時給の伸びが鈍化し、失業率が3.9%と2年ぶりの高水準に上昇したほか、1月までの2カ月間の雇用者数の伸びが下方修正されるなど、労働需給の緩和持続の兆候も見られた。