次回会合へデータを注視、適時に金利引き上げが必要-日銀意見
(ブルームバーグ): 日本銀行が6月13、14日に開いた金融政策決定会合では、政策委員から次回会合に向けてデータを注視し、適切なタイミングで金利を引き上げることが必要との意見が出た。「主な意見」を24日に公表した。
ある委員は2025年度後半の2%の物価安定目標の実現に向けて「オントラックで進んでいるが、上振れリスクも出てきている」と指摘。その上で、次回会合に向けてデータを注視し、「目標実現の確度の高まりに応じて、遅きに失することなく、適時に金利を引き上げることが必要だ」と主張した。
この他にも、「コストプッシュを背景とする第2ラウンドの価格転嫁によって物価が上振れる可能性もある」「円安は物価見通しの上振れの可能性を高める要因だ」など、物価上振れを意識した発言も出た。一方、円安を巡っては、「金融政策運営は、物価の基調とその背後にある賃金動向を見極めて行うものであり、為替の短期的な変動には左右されない」といった見解も示された。
6月会合では金融政策の現状維持を決定する一方、長期国債の買い入れを減額する方針を決めた。会合後の会見で植田和男総裁は、減額計画について「相応の規模となる」と言明。7月会合での利上げも「当然あり得る」などと発言した。今回の主な意見から、円安の進行を含めて物価上振れリスクへの警戒感が強まっていることが明確になった。
国債買い入れの減額は、7月会合で今後1-2年程度の具体的な減額計画をまとめることが決まった。政策委員からは段階を踏んで決定することに関して、「今回具体案を決めるより、市場参加者の見方を確認するプロセスを踏んだ方が、よりしっかりとした規模の削減ができる」「市場との対話も含め、ある程度の時間をかけて慎重に検討すべきだ」などの発言があった。
減額に際しては、「国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で相応の規模の減額をしていくことが適切だ」との意見が示された。「今後の国債保有構造の在り方を念頭に、中長期的観点から新たな市場構造を議論していく必要がある」「中期的な計画を策定して、これに沿って淡々と減額を行うことが望ましい」との声も出た。